投資用物件に自分で住む際の手続きとポイント
投資用物件に自分で住む場合には、いくつか重要な手続きとポイントがあります。これらを怠ると後々トラブルに発展する可能性もあるため、丁寧に進めるようにしましょう。
売却も視野に入れて検討する
投資用物件に自分で住むかどうかを検討する際には、売却も視野に入れて検討することをおすすめします。自分で住むという選択肢だけではなく、その時点での市場における取引相場価格や、投資用として保有し続けた場合の将来的なキャッシュフロー、そして自分で居住する場合の家計収支などを総合的に比較検討しましょう。
例えば、物件をそのまま投資用として運用し続けたほうが将来的に大きな収益を生み出す可能性もあるかもしれません。あるいは、売却して得た資金で別の自己居住用物件を購入した方が、自身のライフスタイルや経済状況にとってより良い選択となる可能性もあります。
不動産市場は常に変動しており、購入時とは状況が大きく変わっていることも珍しくありません。自分で住むことを決断する前に、一度不動産会社に査定を依頼し、現在の市場価値を把握するのもおすすめです。
入居者の有無を確認する
投資用物件に自分で住むことを検討する際、まずは入居者がいるかどうかや、退去の予定があるかを必ず確認しましょう。すでに入居者がいる場合には、入居者を追い出して自己居住を行うことはできないため、賃貸契約書の内容を確認しましょう。
具体的には、契約期間の満了を待つ、あるいは入居者との間で合意の上で立ち退き交渉を行うといった方法が考えられます。しかし、入居者側も正式な手続きを踏んで入居しているため、部屋の使用に問題があるなど、なにか特別な問題がない限り、急な立ち退きに応じるケースはほとんどありません。
金融機関に相談する
投資用物件に自分で住むことを検討している場合、融資を受けている金融機関への事前相談は必須です。これは、前述の通り投資用ローン契約上、自己居住が原則NGとされているためです。
金融機関に相談する際には、正直に状況を伝え、自己居住が可能かどうかを確認します。許可が下りるケースは稀ですが、金融機関によっては個別の事情を考慮してくれる可能性もあります。
また、もし物件が専有面積30㎡以上の区分マンションなど、自己居住用の住宅ローンの融資対象となる物件である場合、投資用ローンから住宅ローンへの借り換えも視野に入れて検討することをおすすめします。住宅ローンに借り換えができれば、一般的に投資用ローンよりも低金利でローンを組めるため、月々の返済額を抑えられ、家計の負担を軽減できる可能性があります。
借り換えには審査や手数料が必要ですが、自己居住の実現と経済的なメリットの両面から、総合的に判断しましょう。
収支計画を立てる
投資用物件に自分で住むことを決断する前に、必ず詳細な収支計画を立てる必要があります。入居者がいない物件に自分で居住することによって空室対策になると誤解されることもありますが、自己居住によって家賃収入が得られなくなるため、決して空室対策にはなっていません。現在の収入と支出を見直し、家賃収入がなくなった状況でも、ローン返済や管理費、固定資産税などの費用を無理なく支払い続けられるかを確認しましょう。
また、ローンの借り換えを検討する場合は、その際に発生する諸費用(保証料、事務手数料、登記費用、司法書士費用など)についても、金融機関や司法書士に相談し、事前にどれくらいの金額が必要になるかを正確に見積もっておく必要があります。これらの費用は数十万円に及ぶこともあるので、事前に把握しておく必要があります。
