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不動産投資ローンを契約中の投資用物件には、原則として、自分で住むことはできません。そもそも、不動産投資ローンは投資を目的としたローンであり、自己居住を目的としていないためです。ただし、金融機関からの許可を受けた場合や、住宅ローンに借り換えることができた場合には、自分で住むことが可能です。なお、ローンがない場合や入居者がいない場合は、契約が終了しているためどのように使用するかは所有者の自由です。本コラムでは、投資用物件に自分で住むことができる場合・できない場合の具体例のほか、自分で住むメリット・デメリット、手続き上の注意点を解説します。

特にオーナーチェンジ物件に自分で住むことを検討している方は、こちらのコラムでも詳しく解説しておりますので、ぜひご参照ください。

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投資用物件に自分で住むメリット

(画像:PIXTA)
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投資用物件に自分で住むことで、一般的な住宅購入とは異なるメリットを受けられることがあります。以下からは、代表的なメリットを2つ紹介します。

 

割安で物件を購入できる可能性がある

投資用物件に自分で住むことのメリットのひとつに、割安で物件を購入できる可能性がある点が挙げられます。

 

一般的に、自己居住用として販売されている物件は、築年数や面積、建物構造、交通利便性、建物仕様、近隣住環境などが価格に反映されやすく、特に首都圏などでは取引相場が高くなる傾向があります。しかし、投資用物件は、収益性や利回りといった経済的な視点から評価されるため、取引価格が高くなり過ぎてしまうと投資妙味が薄れることから、同じエリアや同じマンションであっても自己居住用として販売されている物件と比較して、割安な価格で市場に出回ることが珍しくありません。

 

もちろん、全ての投資用物件が自己居住用物件よりも安いというわけではありませんが、物件の特性や市場の状況をしっかりと見極めることで、掘り出し物を見つけられる可能性は十分にあります。そのため、もし将来的に投資用として購入した物件に、入居者が退去した後に自分で住むことを考えているのであれば、結果として割安な価格で自分の住まいを確保できる可能性も十分に考えられます。

 

住む部屋を探す手間が省ける

投資用物件に自分で住むことを選択するもうひとつのメリットは、住む部屋を探す手間が省けるという点です。

 

自己居住用物件を探す際には、希望のエリアや間取り、家賃、設備など、多くの条件を考慮しながら物件情報を収集し、内見を重ねる必要があります。これは時間と労力を要する作業であり、特に多忙な方にとっては大きな負担となります。

 

しかし、自分で所有している投資用物件に住むのであれば、新たに自己居住用物件を探す必要がなく、また、契約手続きなども不要です。自分の資産を有効活用できるだけでなく、煩雑な手続きや新たな費用も抑えることができます。

 

さらに、賃貸物件の場合では貸主の意向や契約内容によって、自由にリフォームや模様替えができない場合がありますが、自分で所有する物件であれば、自由にカスタマイズが可能です。自分のライフスタイルや好みに合わせて空間をアレンジできるため、より快適な居住空間を実現できるでしょう。

投資用物件に自分で住むデメリット・注意点

投資用物件に自分で住むことには、いくつかのメリットがある一方で、デメリットや注意点も存在します。

 

不動産投資ローンの契約上、自ら住むことは原則NG

投資用物件に自分で住むことを検討する際に、最も重要な注意点となるのが、不動産投資ローンの契約上の制約です。

 

多くの場合、不動産投資ローンを利用して購入した物件に自己居住することは、原則として契約違反となります。これは、不動産投資ローンが「物件を賃貸に供し、その賃料収入をもってローンを返済する」という前提で融資されているためです。この契約を無視して、自己居住とする場合、契約違反としてローンの残債を一括返済するよう求められるリスクもあります。

 

自分で住みたいと考える場合には、まずは事前に金融機関へ相談し、承諾を得る必要があります。しかし不動産投資ローンは「投資を目的としたローン」であり「自己居住を目的としたローン」ではありません。その性質上、金融機関から承諾が下りるケースはほとんどありません。もし、将来的に自分で住むことを視野に入れているのであれば、自己資金での購入や、ローン完済後に居住するといった計画を立てるようにしましょう。

 

入居者がいる場合、自分で住むことはできない

すでに賃貸中の投資用物件に関しては、たとえ物件の所有者であっても一方的に賃貸借契約を解除し、自分で住むことはできません。

 

通常、賃貸借契約には2年間などの契約期間が定められているものの、一般的に用いられる普通借家契約の場合、契約の更新に際して賃借人から契約期間延長の申し出があった場合には、原則として賃貸人はこれを拒否できません。そのため、現在入居者がいる投資用物件については、いつかその入居者が退去すれば自分で住むことは可能であるものの、その時期がいつになるかは分からない、ということになります。

 

住宅ローン控除を受けられない

投資用物件に自分で住む場合、住宅ローン控除を受けられないという点も重要なデメリットです。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームを取得する際に、所得税や住民税から一定額が控除される制度であり、住宅購入者にとって大きな節税効果をもたらします。

 

しかし、この制度はあくまで「自己居住用物件」の取得を対象としており、投資用物件の購入に利用したローンは適用外となります。たとえ、投資用として購入した物件に自分で後から住んだとしても、その物件が不動産投資ローンで購入されている限り、住宅ローン控除の対象とはなりません。もし、住宅ローン控除の適用を期待して物件を購入するのであれば、当初から自己居住用の住宅ローンを利用して購入する必要があります。

 

節税効果も得られない

投資用物件に自分で住む場合、不動産投資で得られる代表的なメリットである節税効果も得られません。不動産投資による節税効果の代表例は、他の所得との損益通算により所得税や住民税を軽減できる点です。不動産の減価償却費やローンの金利、管理費、修繕費などの必要経費が家賃収入を上回ることで赤字となり、課税所得を圧縮できます。

 

しかし、自分で物件に居住する場合、事業としては認められないためにこれらの経費を計上することができず、他の所得との損益通算による節税効果は得られなくなります。

 

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