両手仲介で失敗しないための対策
ここまで解説したように、両手仲介は不動産会社・売主・買主のそれぞれにメリットをもたらす一方で、特に売主にとって大きなリスクも伴う取引形態です。そこで以下からは、両手仲介で失敗しないための具体的な対策を5つ解説します。
売却の場合は複数社に査定を依頼して相場感を把握する
不動産を売却する際には、1社にだけ査定を依頼するのではなく、複数の不動産会社に査定を依頼して価格や提案内容を比較することが大切です。そのうえで、各社から提示される査定額や、売却戦略に関する提案内容を比較検討し、正確な相場感を把握しておくようにしましょう。
また、不動産ポータルサイトなどを活用し、積極的に情報収集をしておくことも大切です。売却する物件と条件(エリア・広さ・築年数・間取りなど)が近い物件の売出価格や成約価格など情報を調べ、相場感や市場の動きを把握しておきましょう。
明確な売却希望価格を持って、不動産会社との交渉に臨めば、不利な条件を提示されても冷静に判断でき、失敗のリスクを軽減することが可能です。
契約前に仲介取引形態や説明内容をよく確認する
不動産売買では、不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3つの種類があります。売主にとっては契約内容が売却活動に大きく影響するため、以下の表より違いや特徴を理解しましょう。

このように、媒介契約の種類によって、レインズへの登録義務の有無や、売却活動の報告義務の有無・頻度が異なります。そのため、不動産の売却活動では契約前に仲介取引形態について理解しておくことが非常に重要です。
前述した通り、2025年1月からは両手仲介において取引の申込状況をレインズに登録をすることが義務づけられましたが、一般媒介契約では他社に依頼が可能なため、レインズへの物件情報の登録義務はありません。こうした契約上の違いを事前に把握し、担当者の説明に納得した上で契約を結ぶようにしましょう。
また、自分の物件が不動産情報サイトにどのように掲載されているか、閲覧数や問い合わせ件数がどの程度あるのかを確認することをおすすめします。確認することによって、売却活動の進捗を客観的に把握でき、値下げ交渉に至った場合にどの程度応じるべきかが判断しやすくなります。
媒介契約の違いや特徴、注意すべきポイントについては、それぞれ特集コラムを用意してありますので、ぜひこちらもご覧ください。
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売買に向けた具体的な進め方を確認する
契約前に、不動産会社との間で売買に向けた具体的な進め方をしっかりと確認しましょう。
一口に「不動産会社」といっても、取り扱う物件の種類や得意とする売却方法、活用している情報サイトは会社によって大きく異なります。そのため、単に過去の実績だけで選ぶのではなく、実際にどの情報サイトに掲載する予定なのか、売却までの想定期間はどのくらいか、広告や内覧の対応方針はどうなっているかなど、具体的なプロセスを質問するようにしましょう。
具体的な進め方について不明瞭な点が多い場合は、慎重に検討し、場合によっては他の不動産会社に切り替えることも視野に入れて検討しましょう。
信頼できる不動産会社かどうか、口コミや対応をチェックする
不動産取引を成功させるためには、何よりも信頼できる不動産会社を見つけることが肝心です。そのためには、不動産会社選定の段階で、その会社の口コミや対応を徹底的にチェックすることをおすすめします。
インターネット上の評判サイトやSNSで、実際にその会社を利用した人の口コミを参考にすることはもちろん、複数の不動産会社と実際にやり取りをして、それぞれの対応を比較検討することも重要です。
ただし、口コミの中には感情的なものも含まれるため、複数のサイトを比較したり、実際の契約者のレビューに絞って読んだりするなど、慎重に情報を取捨選択することが求められます。
信頼できる不動産会社の特徴や、不動産会社の選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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販売の進捗状況を細かく確認する
物件を売却する際には、販売の進捗状況をこまめに確認することが大切です。掲載している不動産情報サイトの閲覧数や問い合わせ件数はもちろん、実際に問い合わせが入った後にどのようなフォローアップをしているのか、いわゆる「追客状況」についても不動産会社に確認を行いましょう。
具体的な状況を確認することによって、不動産会社側も安易に囲い込みや対応の遅延などを行いにくくなります。また、こまめに販売状況を確認することで、売却が思うように進んでいない場合でも早期に手を打つことができ、状況に応じて価格の見直しや販売方法の変更といった柔軟な対応が可能になります。
さらに、販売活動の積極性や透明性を見極めることもできるため、両手仲介による不利益を未然に防ぐ抑止力にもつながります。信頼関係を築きつつも、売主としての主体性を保ち、適切な監視の目を持つことが重要です。
