(※写真はイメージです/PIXTA)
令和の教育費の現実
「まさか、ここまで学費が高くなっているとは思わなかった」
東北地方に住む会社員のAさん(52歳)は、4年前、大学受験を控えた息子の進路相談をきっかけに、教育費の現実に直面した。Aさんが教育費について本格的に調べはじめたのは、長男が高校2年生になったころ。「そろそろ志望校を絞らないと」そう進路について家族で話していた際、学費や受験にかかる費用をネットで検索したときだ。
「国立なら安いし、なんとかなるだろう」──そんな漠然としたイメージは、すぐに打ち砕かれた。
A家の世帯月収は45万円。調べてみると、国立大学でも入学金を含めると初年度で約100万円が必要。さらに、滑り止めで受験する私立大学の受験費用・入学金、教材費、PC代、引っ越し代、生活用品の購入なども含めると、「ざっと200万円はかかる」と知り、愕然とした。
全国大学生活協同組合連合会の「2024年度保護者に聞く新入生調査」によると、受験から入学までにかかる費用の全体平均は217万円にのぼっている。
「これから塾にも通わせるとなると、一体どれだけあれば足りるのか……」
親としての責任を痛感しながらも、Aさんは子どもの前で動揺をみせまいと、平然を装うのに必死だったという。
借りさせたくないけど、借りざるを得ない
Aさん自身は約30年前、両親の支援とアルバイトで学費と生活費をまかない、奨学金なしで大学を卒業した。
「親が“国立ならなんとか出してあげる”といってくれて。学費も物価もいまと比べればずっと安いですが、当時はそれでも大変だったはずです。自分もアルバイトはしていましたが、奨学金を借りる必要はなかったんです」
しかし、息子の大学進学に加え、4年後には娘も同じく受験生になる。2人分の大学進学費用や生活費は、とても自分たちの貯蓄だけではまかなえない。Aさんは「奨学金を借りてもらうしかない」という決断に至った。
「奨学金について調べてみると、いまは大学生の2人に1人が利用していることを知って、うちだけじゃないんだなと少しホッとしました。ただ、本当は給付型の奨学金をもらえればよかったのですが、収入基準で引っかかってしまって……。子どもに“借金”を背負わせることに、親として申し訳なさを感じます」