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大丈夫…夫は自信満々に言っていた
夫・佐藤正志さん（享年68歳・仮名）は、亡くなる直前まで「俺に何かあっても大丈夫」と妻に話していたといいます。しかし、その安心の言葉とは裏腹に、残された妻・佐藤綾子さん（66歳・仮名）に届いた遺族年金の額は、たった月1万円でした――。
「あの時の通知書を見た瞬間の衝撃は、今でも忘れられません」
夫の正志さんは中小企業に長年勤め、60歳で定年を迎えたあとも働き続けました。「家にいてもすることもなく、暇だから」というのが働き続ける理由。一方、綾子さんも共働きで家計を支えてきました。
「夫が引退を決めたら、私も仕事を辞めるつもりでした。そのあとは夫婦2人で穏やかに暮らせればいいと話していたんですけどね」
しかし、正志さんとの別れは、突然に訪れました。職場で倒れたのち、すぐに病院に搬送されましたが手遅れ……急性心筋梗塞でした。健康診断でも問題なく、「この年で大したものだ」と笑っていた正志さん。綾子さんも、こんな形で夫婦の生活が終わるとは思ってもみませんでした。「あなたは健康優良児だから」と、安心しきっていたのです。
ほとんどの夫婦は「配偶者との別れ」を経験するものです。このとき、家族を亡くした悲しみの一方で、「この先、1人で大丈夫だろうか」と経済的な不安を覚えるでしょう。そんな遺族に対する公的なサポートが遺族年金です。
年金を受け取っている人が亡くなったら、遺族はその年金の4分の3を受け取ることができる。
そう耳にしたことがあるでしょう。亡くなった正志さんも、この言葉を根拠に「俺に何かあっても大丈夫」と言っていたといいます。
「夫は月17万円ほどの年金を受け取っていました。その4分の3なら月13万円弱。あとは、私も年金を受け取っているので、合わせたら今受け取っている給与くらいになる。十分といえば十分ですが……」
