『応援したい若者を自身で選ぶ!あなたの名を冠した「オリジナル奨学金」で後世に残る社会貢献』
学生の「2人に1人」が受給する奨学金だが、問題は山積み
これは、弊社でインターンとして働く寺田瑞季さんの言葉です。失意の中にいた彼女は、返済不要の給付型奨学金のおかげで富山大学に進学することができました。
初めまして。「若者が経済的な理由で夢を諦めなくていい社会の実現」を目指し、奨学金に関する事業を立ち上げた、株式会社ガクシー創業者でCEO(最高経営責任者)の松原良輔です。
突然ですが、奨学金と聞いてどのようなイメージを抱きますか? 「経済的に厳しい学生が利用する借金」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
しかし現在、大学生の約2人に1人が奨学金を受給しており、日本学生支援機構(JASSO)の調査によると、特に大学の昼間部では55%の学生が「何らかの奨学金を受けている」と回答しています。
それほど日本は貧しくなってしまったのか? 大学進学率は伸びているのでそうとは言い切れませんが、確かに問題は山積みです。
昨年、東京大学は授業料の値上げを発表し、2025年度4月入学者から実施されています。国立大学でも近年、授業料の引き上げが続いており、私立大学については1990年代初頭から大幅な高騰が続いています。
一方で、日本の平均所得は過去20年間、ほぼ横ばいのままです。他の先進諸国――アメリカ、イギリス、カナダ、イタリアなどの平均年収が右肩上がりで推移しているのに対し、日本はそれらの国々よりも低い水準にとどまっています。
さらに、物価はこの40年で2倍以上に上昇しました。学費と物価が上がり続ける一方で、平均所得が変わらないという現実があります。
その影響もあり、奨学金の受給者数と受給率は年々増加しています。少子化により出生数が減少しているにもかかわらず、奨学金の受給者数と受給割合は増加しているのです。
こうした状況のなかで、学生が奨学金を利用して大学に進学するのは、もはや当たり前のことだと言えるでしょう。しかし、学生たちに奨学金の情報は十分に届いていないのが現状です。このままでは誰も幸せになりません。
私は慶應義塾大学商学部を卒業後、三井化学株式会社で経営企画や採用業務に携わっていました。その後、先輩に誘われてジョブテシオ株式会社を起業しました。
この会社では、インドなどの海外の優秀な工学系人材(エンジニア)と日本企業をマッチングさせるという、当時としては非常に新しいビジネスモデルに取り組みました。その経験を通して、日本の若者の学ぶ環境と、海外の大学生・大学院生の学びの環境に大きな差があることを実感しました。
海外では、日本よりも学費が高いにもかかわらず、生活費や学費のためにアルバイトをする学生は少なく、奨学金(スカラシップ)制度が充実しており、学業に専念できる環境が整っています。一方、日本では、東京大学の大学院生でさえ、月3万円のアルバイトのために研究時間を削っているのが現状です。
このままでは「失われた30年」は終わらず、日本の将来はさらに悪化してしまう……。そうした危機感から、将来を担う若者を支援したいという思いが強まり、2019年に「奨学金」をテーマに株式会社ガクシーを創業しました。
奨学金の課題を解決するための取り組み
学生の半分が奨学金を借りる時代。しかしながら、奨学金に対する世間の情報はアップデートされておらず、いまだに「借りたら就活に不利」「結婚できない」などと言われています。
そうしたネガティブなイメージばかりが先行してしまい、インターネットで奨学金に関する情報をリサーチしても、学生のためになる情報はほとんど見つかりません。そこで、弊社では奨学金の課題を解決するために、主に3つの取り組みを行っています
1つ目は、学生・保護者向け日本最大級の奨学金情報サイト「ガクシー(https://gaxi.jp/)」の運営です。
現在、奨学金のうち返済不要の給付型は23%、卒業後に返済する貸与型が77%を占めています。多くの人は奨学金は将来返すものだと思っているでしょう。それは違います。今は、返済不要の給付型奨学金制度が充実しています。特に企業や財団による給付型奨学金は、実は数多くあります。
しかし、そうした情報が本当に必要としている人に届きづらいという現状があります。そこで立ち上げたのが「ガクシー」です。「日本中ほぼすべての奨学金の中から、自分に合った奨学金を見つけられる」をテーマに運営しており、このサイトを通じて、従来の貸与型奨学金だけでなく、給付型奨学金も充実していることを学生たちに伝えたいと考えています。
ただ、根本的な問題として、教育費に対する奨学金の総量が不足しています。2024年時点の教育に対する公的支出の割合は、OECD(経済協力開発機構)加盟36ヵ国中ワースト3位でした。2019年のデータでは日本が最下位だったため、順位は上がっているものの、依然としてOECD平均を下回っています。そのため、多くの学生が学費や生活費を賄うためにアルバイトをしています。
ここで2つ目の取り組みとして、弊社は民間に眠る潜在資金(タンス預金)を教育に流れるようにし、新たなお金の流れを創出する仕組みを構築しようとしています。
現在、日本の大学・短大・専門学校にかかる年間教育費は約16.2兆円。そのうち奨学金市場は約1.6兆円程度とされており、教育費全体の10%未満にとどまっています。まずはこの奨学金の総量を増やすことが大きな課題です。
そこで、世の中の人たちの力を借りて、教育費を増やせないかと考えています。第一生命経済研究所のレポートによると、国内には約50.4兆円のタンス預金があるとされています。これを遺贈や寄付金という形で教育費に流す取り組みを行なっているのです。
アナログな運営業務による負担を軽減
また、私は会社を設立する前に、全国の大学の奨学金運営担当者や財団の担当者に対して、数多くのヒアリングを行いました。その中で浮かび上がってきた課題は、「奨学金業務は非常に大変で、精神的に追い詰められ、うつ状態になってしまう人もいる」という、深刻かつ切実な声でした。
その理由のひとつが、アナログな運営業務による負担の大きさです。学生にとっても運営側にとっても非常に手間がかかり、非効率な状況が続いています。
大学では、少人数の担当者が奨学金の運営を担っており、他の業務と並行して進める中で、奨学金業務は責任が重く、専門性も高いため、大きな負担となっています。わずかなミスが学生の生活に直結するため、非常に緊張感のある仕事です。
こうした課題に対応するため、3つ目の取り組みとして、奨学金業務の効率化・DX化を目指し、「ガクシーAgent(https://gaxi-agent.com/)」というクラウド型管理システムを大学や財団などの奨学金運営団体に提供しています。これを利用してもらうことで、奨学金運営団体の皆さんの負担を軽減できればと思っています。
そして、新たに奨学金の総量を増やす取り組みとして「ウェルネス事業」を立ち上げましたが、これは次回ご紹介します。
「夢をあきらめない社会の実現」を目指して
創業から6年が経過しましたが、依然として課題は山積みです。しかし、ひとつずつ課題を解決していくことで、「夢を諦めなくていい社会の実現」を目指しています。もちろん、私たちはビジネスとして事業を展開していますが、根底にあるのは、将来を担う若者たちを奨学金というツールを通じて支援していきたいという思いです。
冒頭で紹介した寺田さんは、こう語ってくれました。
「奨学金がなければ、私は大学に通うことができませんでした。奨学金は、暗闇の中にいた私を救い、未来を照らしてくれるような存在です」
これからも私たちは、若者の可能性を広げる新しいお金の流れを創造していきます。
株式会社ガクシー
代表取締役 松原 良輔
『応援したい若者を自身で選ぶ!あなたの名を冠した「オリジナル奨学金」で後世に残る社会貢献』
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