近年その名前を聞くことが増えた南海トラフ地震。2011年3月11日に発生した東日本大震災を超える巨大地震になることが想定されています。これまで120~200年ほどのスパンで周期的に発生しており、前回から80年ほど経過しているいま、いつ起きてもおかしくありません。南海トラフ地震の危険性について、『47都道府県の怖い地理大全』(彩図社)より詳しくみていきます。正しい情報を知り、可能な範囲で万一の事態に備えておきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
経済損失292兆円、津波は〈20m超え〉の恐れも...30年以内の発生確率80%、日本中が知っておくべき「南海トラフ地震」の危険性
地震津波の破壊力を上げるリアス式海岸
南海トラフ地震は、東日本大震災級の津波を生じさせると予想されている。特に被害拡大が予想されるのが、リアス式海岸がある紀伊半島沿岸部から志摩半島一帯だ。
リアスは、スペイン語で「入り江」を意味する「ria」の複数形「rias」。氷河期末期の海面上昇で沿岸部が水没し、山岳や谷だった部分に海水が流れ込んで形成された土地だ。海岸線がのこぎり状に入り組み、水深の深い場所が多いために、海産物が豊富だ。だが、同時に災害リスクの高い地形でもある。V字の入り江に津波が押し寄せると、奥に行くほど谷が狭まるために波高が高くなる。そのため、周辺被害も大きくなるのだ。
東日本大震災のときも、リアス式海岸のある青森県八戸市には、8メートルを超える津波が押し寄せた。南海トラフ地震が発生した場合、志摩半島の志摩市と鳥羽市はこれを大きく上回る、平均波高20メートル以上の津波に見舞われると予想されている。和歌山県、三重県の沿岸部も、大津波の襲来が予想されている。周辺住民は注意が必要だ。
地形ミステリー研究会
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