地震津波の破壊力を上げるリアス式海岸

南海トラフ地震は、東日本大震災級の津波を生じさせると予想されている。特に被害拡大が予想されるのが、リアス式海岸がある紀伊半島沿岸部から志摩半島一帯だ。

リアスは、スペイン語で「入り江」を意味する「ria」の複数形「rias」。氷河期末期の海面上昇で沿岸部が水没し、山岳や谷だった部分に海水が流れ込んで形成された土地だ。海岸線がのこぎり状に入り組み、水深の深い場所が多いために、海産物が豊富だ。だが、同時に災害リスクの高い地形でもある。V字の入り江に津波が押し寄せると、奥に行くほど谷が狭まるために波高が高くなる。そのため、周辺被害も大きくなるのだ。

東日本大震災のときも、リアス式海岸のある青森県八戸市には、8メートルを超える津波が押し寄せた。南海トラフ地震が発生した場合、志摩半島の志摩市と鳥羽市はこれを大きく上回る、平均波高20メートル以上の津波に見舞われると予想されている。和歌山県、三重県の沿岸部も、大津波の襲来が予想されている。周辺住民は注意が必要だ。

地形ミステリー研究会
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