女性の心に働きかけるコンテンツを作るには、女性ならではの感性に寄り添うことが必要です。「なりたい自分像」で憧れや共感を呼んだり、記憶に残る言葉づかいを選んだりとテクニックは身近な女性誌にも数多く散りばめられています。本記事では、「Popteen」「NIKITA」「ar」「SCawaii!」「Ray」などで 16 年にわたり女性誌編集を手掛けた橋本夏子氏の著書『女性に売れる言葉とデザイン』(フォレスト出版)より一部抜粋・再編集し、女性誌に見られる女性の心を掴む言葉の作り方について解説します。
ヒット商品に欠かせないのは「記憶に残るネーミング」…『Popteen』『NIKITA』数々の有名雑誌を手掛けたプロが語る「女性の心に響くコンテンツ作り」のコツ (※写真はイメージです/PIXTA)

読者が「なりたい自分」をそのままタイトルに

女性誌の企画タイトルを考えるとき、まず大事なのが、「読者が憧れる姿を、そのまま言葉にする」こと。

 

たとえば「Popteen」では、「モテるのはどんな女のコか」というテーマの読者座談会を実施。その際、モテるのは結局小悪魔っぽい感じの女子だという話で盛り上がりました。では、その小悪魔女子はどんな女性か、どんなビジュアルかと、読者がなりたいイメージ像を掘り下げ、企画にしていくのです。

 

・ファーコートを脱いだら肌見せしているのが男子ウケいい。

・ベースは黒でカッコイイのに、靴だけ赤パンプスで女度出す。

→ 読者の意見をビジュアルに落とし、それを小悪魔ファッションとして提案。

 

タイトルも、「今年はモテるために小悪魔ファッションでいく!」と女のコたちが宣言していたその思いをそのまま使い、ブリッコじゃないモテの進化論として、「恋する私は小悪魔ファッションでいく!」という企画名にしたのです。

 

出所:『女性に売れる言葉とデザイン』 「Popteen」の「恋する私は小悪魔ファッションでいく!」企画より。読者のなりたいを引き出し、ビジュアルに落とすことで、「そうそう、これが知りたかった!」と自分事化する。
[図1]Popteen紙面 出所:『女性に売れる言葉とデザイン』

 

「Popteen」の「恋する私は小悪魔ファッションでいく!」企画より。読者のなりたいを引き出し、ビジュアルに落とすことで、「そうそう、これが知りたかった!」と自分事化する。

 

この読者のリアルな感情を言語化し、カタチにすることこそ、企画づくりの大切な要素。

 

ただの商品紹介ではなく、「そのアイテムを身につけたらどうなるのか?」、どう役立つかというストーリーをつくり、読者に具体的にイメージをしてもらう。そうすることで読者は、「今の自分にぴったり合う!」「必要なものだ」と感じ、購買スイッチが入るようになるのです。