(※写真はイメージです/PIXTA)
売れるには「記憶に残るネーミング」が不可欠
「記憶に残るネーミング」の代表選手は、20年以上の雑誌経験の中でもダントツなのが、「NIKITA」時代の「乳間(にゅうかん)ネックレス」です。
これは私ではなく、先輩がつけたネーミングですが、「NIKITA」編集部では常にオリジナルの言葉を考えてタイトルをつけるのがルールでした。他の雑誌にはない切り口を探し、他と同じような言葉づかいは絶対NGだったのです。
「乳間ネックレス」とは、胸元までグッと下がるロングネックレスのことです。「NIKITA」は男性のモテを誘うために、そのツールとしてアイテムを買ってもらうというコンセプトでつくっていた雑誌です。なので、単純に「トレンドのロングネックレス」という紹介の仕方ではなく〝谷間に視線を誘導する〞というストーリーをもとに、「男心をくすぐるツール」として紹介するのです。
こうすることで、「これ、つけたら絶対モテるやつ!」「乳間ネックレスか、天才!」と、記憶に残るようになり、買い物リストの上位にグッと急浮上するわけなんです。
この「記憶に残るネーミング」をつくるメリットは次のとおりです。
・オリジナルの言葉をつくることで、雑誌の世界観が伝わる。
→ 独自のネーミングがあることで、「『NIKITA』らしい!」という個性やブランドイメージが確立される。
・インパクトがあり、読者の記憶に残る。
→ 「ロングネックレス」よりも「乳間ネックレス」のほうが圧倒的に印象に残り、SNSや口コミでも話題になる。
・ストーリーがあると、興味を持たれやすい。
→ 単なる商品の特徴だけではなく、「このアイテムを使うとどうなれる?」というストーリーが加わることで、読者がワクワクし、試してみようという気持ちに。
このように、ただ商品をストレートに紹介するのではなく、魅力的なネーミングとストーリーを組み合わせることで、女性に響く言葉が生まれるのです。
「女性の心を動かすスイッチ」になるネーミングやコピーを生み出すためには、「女性がなりたいと思う言葉になっているか?」「女性の記憶に残る印象的な言葉か?」という2点を意識するのがポイントです。
法則 まとめ
・女性に届くのは、〝共感〞と〝なりたい姿〞が含まれた言葉。憧れや感情に寄り添った言葉の設計が、女性の感情を動かすスイッチになり、行動を引き出すカギになる。
・売れる商品には、「記憶に残るネーミング」と「使うとどうなるか?」というストーリー設計が不可欠。世界観を伝える言葉とストーリー性をデザインする。
橋本 夏子
代表取締役
TOSS International株式会社
