(※写真はイメージです/PIXTA)
要介護の父を介護する母だったが…まさか認知症を発症
都内でシステムエンジニアとして働く佐藤健太さん(仮名・48歳)。就職氷河期ど真ん中でしたが、何とか正社員の内定を勝ち取り、これまで頑張ってきました。現在の月収は45万円。同世代の平均は下回るものの*、趣味も楽しみながら、漠然と将来への不安を抱えつつも、それなりに充実した独身生活を送っているつもりでした。
*厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』より、男性/大卒/正社員/45~49歳の平均月収は49.8万円
しかし、その平穏な日常は、突然崩れ去りました。数年前から足腰が弱くなっていた父親が、ある日転倒し、寝たきりの状態に。そして、追い打ちをかけるように、父の介護に疲弊していた母親が認知症を発症しました。
「健太、お父さんのオムツ、替えてくれる?」
「あれ? 今日は何曜日だっけ? ご飯はまだ?」
日に日に症状が進む母と、寝たきりの父。まさか、両親同時に介護が必要になるとは、想像すらしていませんでした。佐藤さんは、仕事と介護の両立に追われる日々を送るようになりました。朝は早く起きて両親の身の回りの世話をし、会社へ出勤。仕事が終われば、すぐに帰宅し、食事の準備、入浴の介助、そして夜中の排泄介助。まともな睡眠時間も確保できず、心身ともに疲弊しきっていました。
「訪問介護やデイサービスなども利用して仕事との両立を図ってきたのですが、そろそろ限界です……」
現在、父親は要介護3、母親は記憶障害が加速し認知症の中期と診断されています。厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』によると、要介護3の介護者の介護時間は、「ほとんど終日」が31.9%、「半日程度」が21.9%、「2~3時間程度」が11.5%。要介護2に比べて「終日」は15ポイントほど上昇し、介護負担が大きく増えていることがわかります。