(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産の売却は、①売却の目的を明確にする、②不動産の査定を依頼する、③媒介契約を結ぶ、④売却活動の開始、⑤買主との交渉と売買契約の締結、⑥引き渡し・決済という6つのステップを経て完了します。本コラムでは、これらの各ステップの詳細や、スムーズな売却を実現するために注意すべきポイントを詳しく解説します。

④売却活動を開始する(広告・内覧対応)

(画像:PIXTA)
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媒介契約を結んだあとは、不動産会社が中心となって売却活動が始まります。

 

不動産会社と販売戦略について共有した後は、基本的に不動産会社が主体となって売却を進めていくことになりますが、よりスムーズな成約を実現するためにも、以下のポイントに注意しましょう。

 

不動産会社による広告・集客方法

不動産会社は通常、不動産ポータルサイトへの掲載をはじめ、チラシ広告や情報誌への掲載を通じて、ターゲット層へのアプローチを行います。また、物件の立地や特徴によっては、オープンハウスと呼ばれる売り出し中の物件を一定期間自由に内覧できるイベントを開催することもあります。

 

こうした広告活動の多くは不動産会社が主導して進めてくれますが、通常の広告費より多くかかった費用や業務範囲を超える特別な対応については、売主の実費によって行われます。これらの費用は、不動産会社が勝手に請求することはできず、売主の希望で実施された場合や売主に事前に明確な同意を得ていることが条件になります。そのため、どのような広告活動を行っていくのかについて、事前に不動産会社としっかり打ち合わせをしておくことが大切です。

 

また、自分の物件の強みやアピールポイントを把握し、それを適切に広告に反映してもらえるように意見を伝えることで、より効果的な売却活動を実現できます。

 

内覧時の準備と対応のコツ

購入希望者が物件に関心を持った場合、次のステップとして内覧が行われます。内覧は、実際に物件を見てもらい、住環境や設備の状態などを確認してもらう非常に重要な機会となります。

 

このとき、物件の第一印象が購入の決め手となることも多いため、事前の準備が肝心です。内覧前には室内の清掃を徹底して不要なものは片付け、できるだけ広く明るい印象を与えるようにしましょう。水回りの清潔さや玄関の整理整頓など、細かな部分にも気を配ることがポイントです。

 

内覧当日は不動産会社のスタッフが対応することが一般的ですが、売主が立ち会うケースもあります。その際は、購入希望者からの質問にすぐ答えられるよう、物件の築年数や修繕履歴、近隣環境について事前に整理しておくと安心です。

⑤買主との交渉・売買契約の締結

購入希望者が現れ、内覧などを通して購入の意思が確認できたら、次は売買条件の交渉と契約の締結に進みます。

 

契約は売却プロセスの大きな山場となるため、冷静かつ丁寧に進める必要があります。契約後にトラブルが発生しないよう、少しでも不明点があればしっかりと確認し、十分に納得した上で契約締結を進めましょう。

 

売却価格交渉のポイント

売却価格の交渉にあたり、まず大切なのは、物件の市場価格を把握しておくことです。近隣の類似物件の売却価格や相場情報を参考にし、強気すぎず、安売りもしない適正な価格を意識しましょう。買主から値下げの希望があった場合でも、相手の資金計画やローン審査の状況をふまえた上で判断することが重要です。

 

ときには条件面を譲ることで、全体としてより有利な契約につながるケースもあります。また、価格交渉に時間をかけすぎると他の購入希望者を逃す可能性もあるため、優先順位を明確にして交渉に臨むことが求められます。

 

売買契約の締結・仲介手数料の支払い

不動産会社(宅地建物取引士)より買主に対して重要事項説明を行い、不動産売買契約の内容について売主と買主双方の合意が得られたら、売買契約書に署名・捺印を行い、買主から売主に手付金が支払われます。手付金は通常、売買価格の5〜10%程度で設定され、契約成立の証として扱われます。

 

契約書には物件の所在地、面積、引き渡し日、残代金の支払い時期、特約事項、そして違約金の条件などが詳細に記載されているため、一文一文を丁寧に確認することが不可欠です。

 

また、このタイミングで仲介手数料の支払いが発生します。仲介手数料とは、不動産会社に対する成功報酬であり、原則として契約締結時と物件引き渡し時の2回に分けて支払うのが一般的です。

 

不動産売却における手数料については、こちらのコラムでも詳しく解説しています。

 

【関連記事】不動産売却時の手数料・諸費用のすべて|仲介手数料やその他費用を徹底網羅

⑥引き渡し・決済を行う

売買契約が締結されたあとは、物件の引き渡しと残代金の決済手続きに進みます。

 

通常、決済と引き渡しは同日に行われるため、事前に必要書類の準備と当日の流れの確認をしておきましょう。また、司法書士が行う所有権移転登記も基本的には同日に行われます。多くの場合、不動産会社から必要書類や対応について案内がありますが、売主自身も責任を持って対応し、トラブルのないスムーズな引き渡しを目指しましょう。

 

必要な書類と手続き

不動産の引き渡しと決済を円滑に行うためには、必要書類を事前に漏れなく準備することが重要です。代表的な書類としては、登記識別情報通知書(旧登記済権利証)、住民票、印鑑証明書、本人確認書類、固定資産税納付証明書、売買契約書などが挙げられます。

 

これらの書類は、司法書士が所有権移転登記を行う際や、買主がローンを実行するために必要となります。特に印鑑証明書は発行日から3ヵ月以内のものが求められるため、余裕をもって準備しましょう。

 

また、ローンが残っている場合は、抵当権の抹消手続きも必要となります。抵当権の抹消手続きは自分で行うこともできますが、必要書類も多いため、司法書士に依頼するのが一般的です。

 

引き渡し時に確認すべきポイント

引き渡し当日は、単に鍵を渡すだけではなく、設備や室内の状況について買主と最終確認を行うことが一般的です。

 

まず、エアコンや給湯器などの設備が正常に動作するかを確認し、万が一不具合がある場合にはその場で説明を行います。また、売主が私物を残したままにしていると後々トラブルの原因になるため、引き渡し前には必ず全ての荷物を搬出し、室内を清掃しておきましょう。

 

さらに、ゴミの処分や電気・ガス・水道の解約手続きも忘れずに行います。引き渡し後に設備の不具合や未撤去の残置物が発覚すると、補修費用や撤去費用を請求されるケースもあるため、細部まで丁寧に確認し、買主と円満な取引完了を目指すことが大切です。

 

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