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不動産の売却は、①売却の目的を明確にする、②不動産の査定を依頼する、③媒介契約を結ぶ、④売却活動の開始、⑤買主との交渉と売買契約の締結、⑥引き渡し・決済という6つのステップを経て完了します。本コラムでは、これらの各ステップの詳細や、スムーズな売却を実現するために注意すべきポイントを詳しく解説します。

②不動産の査定を依頼する・売却希望価格を設定する

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不動産の価格を正確に把握するためには専門的な知識が必要となることから、不動産会社に査定を依頼することが一般的です。

 

不動産査定の方法にはいくつか種類があり、不動産会社によって査定額が大きく異なる場合もあるため、以下のポイントに注意しながら査定を依頼しましょう。

 

査定方法の種類(机上査定・訪問査定)

不動産査定の方法には、主に机上査定と訪問査定の2種類があります。

 

机上査定とは、インターネットや電話などから不動産会社に対して依頼できる最も簡易的な査定方法で、過去の取引成約事例などのデータをもとに概算の価格を査定します。実際に物件を見て査定するわけではないので、短時間で査定結果がわかるというメリットがありますが、あくまで表面的な評価にとどまるため、個別物件ごとの管理状態や設備仕様、周辺環境など細かい要素は反映されにくいというデメリットもあります。

 

一方、訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に物件を訪れ、室内の状態や設備の劣化具合、日当たり、周辺環境なども細かくチェックしたうえで、より正確な査定価格を算出する方法です。

 

上記にそれぞれのメリット・デメリットをまとめました。スピード重視なら机上査定、精度重視なら訪問査定と、自分の状況に応じて使い分けるのが効果的です。

 

査定価格と実際の売却価格の違い

不動産会社が提示する査定価格は、あくまで「このくらいの価格で売れるだろう」という目安になります。実際にその価格で売却できるわけではなく、市場の需要やエリア内の競合物件、さらには買主との価格交渉によって実際の売却価格は上下します。

 

また、査定額は不動産会社によっても異なるため、その査定額を鵜呑みにして一喜一憂するのではなく、その査定額が妥当かどうかを見極めることも必要です。自分自身でも不動産情報サイト等で、エリアや築年数、専有面積などから条件の近い物件の情報を確認しておくなどして、相場感覚を養っておきましょう。

 

価格設定のポイント

不動産売却において、価格設定は非常に重要なポイントです。まずは周辺の相場や過去の取引事例をもとに、適正な価格帯を把握することが基本となります。そのうえで買主との交渉を見越して価格設定をしておくと余裕をもって対応できるでしょう。

 

また、不動産の売却には仲介手数料や登記費用、税金などさまざまなコストがかかります。事前にそれらの費用を計算しておくことで、実際に手元に残る金額を正確に把握でき、無理のない売却計画を立てやすくなります。

 

不動産売却で発生する税金や各種手数料・費用の種類や負担を抑える方法については、以下のコラムで詳しく解説しています。

 

【関連記事】不動産売却ではどんな税金がかかる?種類や計算方法、控除制度について解説

 

【関連記事】不動産売却時の手数料・諸費用のすべて|仲介手数料やその他費用を徹底網羅

③媒介契約を結ぶ(不動産会社の選び方)

不動産を売却する際は、不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を委託することが一般的です。

 

媒介契約とは不動産を売却する際に売主と不動産会社との間で締結される仲介契約であり、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。それぞれ特徴が異なるため、しっかりと基本的な知識を確認しておきましょう。

 

一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の違い

一般媒介契約では、複数の不動産会社に同時に売却を依頼でき、自分で買主を見つける自己発見取引も可能な、売主にとって自由度の高い契約です。ただし不動産会社にとっては、他社に先を越されて仲介手数料を受け取れない可能性があるため、積極的な営業活動を期待できないリスクもあります。

 

【関連記事】一般媒介契約のメリットや注意点とは?専任媒介・専属専任媒介との違い

 

専任媒介契約は1社のみに売却を依頼する形態であり、自己発見取引も可能です。この契約では、不動産会社にレインズ登録の義務(休日除く7営業日以内)と、2週間に1回以上の活動報告義務があります。

 

【関連記事】専任媒介契約とは?一般媒介・専属専任媒介との違いを徹底比較

 

専属専任媒介契約では、売却活動を1社のみに任せるうえ、自己発見取引もできなくなります。その一方で、不動産会社にはレインズ登録を休日除く5日以内に行う義務と、週に1回以上の報告義務が課されます。売主側の自由度は最も低くなりますが、不動産会社は成約により必ず仲介手数料を得ることができるため、より積極的な営業活動を期待できます。

 

【関連記事】専属専任媒介契約とは?メリットや注意点、一般媒介・専任媒介との違いを徹底解説

 

レインズ(不動産流通機構)とは

国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営するネットワークシステムです。不動産会社が物件情報を共有するための指定流通機構のことで、全国の不動産会社が利用できます。レインズに情報を登録することで、契約した不動産会社以外の会社でも物件情報にアクセスでき、売却のチャンスが広がります。一般の人は利用することができず、不動産会社のみが利用できるものです。

 

3種類の媒介契約の違いや選び方、不動産会社を選ぶ際のポイントについては、下記のコラムもご覧ください。

 

【関連記事】媒介契約とは?3種類の契約内容の違いと選び方を解説

 

不動産投資初心者には専任媒介契約がおすすめ

初めて不動産を売却する場合や、どの媒介契約にすべきか迷った場合には、まずは専任媒介契約を検討しましょう。

 

専任媒介契約は、一般媒介契約よりも活発な営業活動を期待できる一方で、売主にも一定の裁量が残されている点でバランスの取れた契約形態であり、不動産投資初心者にもおすすめです。

 

ただし、どの契約が最適かは、売却の方針やマーケット状況、物件の立地や築年数、売却の緊急性などの条件によっても変わります。契約形態の特徴を十分に理解したうえで、不動産会社と相談しながら自分に合った方法を選ぶことが大切です。

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