貯蔵がききにくい栄養素であるタンパク質は、毎食こまめに摂ることが大切です。肉や魚だけでなく、野菜からもタンパク質を摂取することができるといいます。糖尿病専門医である大坂貴史氏の著書『血糖値は食べながら下げるのが正解』(KADOKAWA)より、健康的な食生活のためのポイントについて詳しくみていきましょう。
糖尿病予防に効果大!?…糖尿病専門医がすすめる“意外な野菜”の正体【糖尿病専門医が解説】
ご飯を主食にするとヘルシーな献立になりやすい
「横田さんは、ご飯をどれくらい食べますか?」
「夕飯で茶碗に半分くらいでしょうか。昼はチャーハンで食べることもあります」
「先ほどもそうおっしゃっていましたね」
「はい」
「ご飯を主食にすることは問題ありません。むしろ、お茶碗1杯150gくらいは食べて大丈夫です。ただ、主食でアブラを摂取する頻度は減らせるといいですね」
「主食でアブラとは、どういうことでしょうか?」
「チャーハンもそうですし、デニッシュなども脂質が多いですね。食べてはいけないわけではありません。ただ、脂質を減らして“脂肪を増やしにくい主食”に置き換えると、筋肉が増えやすくなると思います」
「なるほど……」
「“ご飯の日”を増やすことですね。朝食にご飯が主食の日を作ったり、昼食のローテーションに冷凍の焼きおにぎりを加えるのもありかもしれません」
「ご飯って太りそうなイメージですが……?」
「確かに炭水化物が多いので、高カロリーになりやすいのです。でも、量を減らしたとしても、それをアブラで炒めたものであれば、さらに高カロリーになりますよね。食事全体に占める脂質の割合が増えると、摂取エネルギーが多くなりやすいんですよ」
「そうなんですね」
「それから、米にもタンパク質が含まれます」
「考えたこともなかったです」
「お茶碗1杯150gに対して、含まれるタンパク質は3.8gで多いとは言えません。それでも、1日に3食を食べれば、11gを確保できる計算です」
「パンよりもお米のほうがいいのでしょうか?」
「小麦にもタンパク質が含まれますが、米と同じようには食べにくいですね」
「というと?」
「食パンやロールパンをそのまま食べるならいいですが、バターやジャムを塗ってしまえば余計なカロリーや糖分の摂取につながります。あとは何を組み合わせるかによりますが、ウインナーやベーコンだと、さらに脂質が多くなります」
「確かにそうですね」
「その点、ご飯なら納豆や卵などと組み合わせれば、脂質は控えめな良質のタンパク質を上乗せしやすいです。かつお節やじゃこをのせても、タンパク質をプラスできますね」
「納豆やじゃこは好きなので、試してみます」
「ご飯だとみそ汁と組み合わせやすいのもメリットの1つです。野菜や海藻などの具は食物繊維が豊富なので、血糖値の上昇を緩やかにしてくれますし、みその原料は大豆ですから、タンパク質もプラスできます」
「だしをとるのが大変で……」
「市販の顆粒だしでいいと思いますし、具からうまみが出るので、だしを使わなくても意外とおいしくできますよ」
「やってみます!」
「米の“腹持ちのよさ”も魅力です。パンやうどんのように、いったんすりつぶされた小麦粉にしてから作られた食品と比べて、お米は細胞をそのまま食べます。そのため、消化・吸収に時間がかかって腹持ちがよいのです」
「腹持ちがよいことと、血糖値にどういう関係があるのですか?」
「特に昼食後の腹持ちが悪いと間食が欲しくなって、どうしても甘いものにつながりやすいですね。ここで甘いものを控えられたら、血糖値を抑えられます」
〈先生からの処方箋〉
ご飯を主食にすれば組み合わせるおかずの脂質を控えめにしやすい!
大坂 貴史
糖尿病専門医・指導医
総合内科専門医