増える「中年子ども」とその親…“実家暮らし”は悪なのか?

実家暮らしの中年子ども、いわゆる「パラサイト・シングル」「子ども部屋おじさん/おばさん」といった言葉が、かつて流行しました。

しかし実際には、近年の非正規雇用の増加、物価上昇といった背景から、「実家暮らし」を選ばざるを得ない人も多いのが実情です。

みずほリサーチ&テクノロジーズが2019年に発表したレポートによると、親と同居している40代・50代の未婚者数は1995年には約113万人だったのに対し、2015年には約341万人と、20年間で約3倍に増加しています(総務省『国勢調査』のデータを基にした数値)。

また、40代・50代人口に占める「親と同居する未婚者」の割合も、1995年の3.1%から2015年には9.9%に上昇しており、同居は「例外」とは言えなくなる日は近いのかもしれません。

親にとっては、家族がそばにいる安心感がある一方で、日々の生活費負担や子どもの将来への不安がつきまといます。また子ども側も、年齢を重ねるにつれて「今さら自立なんて……」という心理的な壁を感じやすくなるのではないでしょうか。

こうした実家依存の構造は、親子関係をこじらせるだけでなく、親の老後資金が目減りする一因にもなり得るのです。