「老後資金はなんとかなった」とホッとしたのも束の間、ふと心を曇らせるのは、2階の4畳半に住み続ける娘の存在。引きこもりではないものの、正社員経験ゼロのまま40代に突入した“実家暮らし”の我が子。このままでは老後どころか、「人生100年時代」に親子共倒れになりかねない――そんな不安に向き合う夫婦を例に、FPの三原由紀氏が解説します。
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まさか、うちの娘が…年金22万円・貯蓄3,000万円の60代夫婦、老後資金は万全だが心から笑えない。原因は「自宅2階・4畳半の部屋に居座る我が子」の存在【FPの助言】
「お金の安心」が「心の安心」とは限らない
年金も貯蓄もあり、生活には困っていない――そんなはずの老後に、「同居するわが子」が精神的・経済的な不安の火種となっているケースは、決して珍しくありません。
長寿化・晩婚化・非正規雇用の拡大といった現代的背景が、「子どもの自立」と「親の老後」を難しくしています。しかし、だからこそ“我が家の未来”に対して、お金・住まい・生活のことをオープンに話し合い、少しずつ行動を変えていくことが必要です。
野田さん夫婦のように、早い段階で「このままでいいのか?」と気づき、具体的な行動を起こせるかどうかが、後の暮らしを左右します。
「いざというとき困らないために」。親子が“共倒れ”にならないためにも、今からできる備えを始めてみてはいかがでしょうか。
小さな一歩が大きな変化を生みます。たとえ40代、50代からでも、自立への道は決して閉ざされていません。親子がお互いを思いやりながら未来に向けて歩み出すとき、それぞれの人生に新たな可能性が開けるのです。
三原 由紀
プレ定年専門FP®