「今は株価より睡眠を優先」精神的な余裕を取り戻した佐藤さんの今

相談から1ヵ月後、佐藤さんは表情が明るくなりました。

「まず、毎月の積立額を5万円に下げました。そして米国個別株を減らして、一部だけをバランス型ファンドに買い替えました」

変化は投資面だけではありません。最も大きな変化は佐藤さんの心持ちでした。

「以前は毎晩株価をチェックしていましたが、今は週に1回程度。株価より睡眠を優先しています」と佐藤さんは笑います。

「妻にもきちんと相談し、一緒に老後の計画を立て直しました。投資はあくまで老後資金計画の一部。リスクを取りすぎず、着実に積み立てていくことにしたんです」

佐藤さんは定年後のパート勤務も視野に入れるようになり、生活費の見直しも始めました。何より、睡眠障害が解消され、胃痛も治まったことが大きな喜びだといいます。

「今は週末に妻と庭いじりを楽しんでいます。わずかずつでも成長する植物を見るのは、投資以上にワクワクしますよ」

新NISAは確かに税制面ではメリットがありますが、投資にはリスクがつきものです。特に定年が近い50代以降は、リスクとリターンのバランスを慎重に考え、自分の生活設計に合った投資戦略を立てることが何よりも重要です。

焦りは禁物。自分の状況に合った堅実な資産形成を心がけましょう。そして、お金だけでなく、心の余裕も大切な「資産」であることを忘れないでください。

ファイナンシャルプランナー
青山創星