老後資金を増やそうと新NISAで一括投資した矢先、大暴落に直面した佐藤誠一さん(仮名)。当時、スマホの株価アプリには真っ赤な数字が映っていました。「胃が痛くて眠れない……」そんな日々を過ごしたという佐藤さん。豊かな老後のために始めたはずの投資が、なぜそんな事態になってしまったのでしょうか。本稿では、特に50代後半以上の人が知っておくべき「新NISAで後悔しない」ための心得と損切りの考え方などを、FPの青山創星氏が詳しくお伝えします。
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やらないと損するって言ってたじゃないか…年収780万円・資産1,200万円の58歳会社員、“老後の足しに”と始めた「新NISA」暴落に絶望も「私が間違っていました」【FPの助言】
「あなたの投資は根本的に間違っている」FPの厳しい指摘
「佐藤さんのケースで最も問題なのは、投資を始めた時点での心構えと投資判断のプロセスです」
永瀬さんの第一声は厳しいものでした。
「多くの方が『新NISAは絶対得』『やらないと損』という言葉に引かれて投資を始めます。しかし、非課税制度は投資で得た利益に対する税金がかからないだけで、必ず利益が出るわけではありません」
佐藤さんの投資には3つの重大な問題があったと永瀬さんは指摘します。
1. 他人の成功を安易に真似た
「自分で調べず、人の真似をする投資は、ギャンブルと同じです」
2. 焦りから一括投資をした
「50代以上の方は『時間がない』と焦りがちですが、それが最大のリスクです」
3. リスク許容度を無視した
「老後資金に余裕がない状況での一括投資は、短期的な相場変動に精神的に耐えられません」
「佐藤さんは毎日株価をチェックし、下落するたびに胃痛に悩まされていますね。本来の長期投資とは真逆の状態です」
永瀬さんの言葉に、佐藤さんは顔を赤らめました。
「私は何から何まで間違っていたのですね……」