老後資金を増やそうと新NISAで一括投資した矢先、大暴落に直面した佐藤誠一さん(仮名)。当時、スマホの株価アプリには真っ赤な数字が映っていました。「胃が痛くて眠れない……」そんな日々を過ごしたという佐藤さん。豊かな老後のために始めたはずの投資が、なぜそんな事態になってしまったのでしょうか。本稿では、特に50代後半以上の人が知っておくべき「新NISAで後悔しない」ための心得と損切りの考え方などを、FPの青山創星氏が詳しくお伝えします。
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やらないと損するって言ってたじゃないか…年収780万円・資産1,200万円の58歳会社員、“老後の足しに”と始めた「新NISA」暴落に絶望も「私が間違っていました」【FPの助言】
「絶対に失えない資金」と「リスクを取れる資金」の明確な区別を
永瀬さんは佐藤さんのような50代後半の投資初心者に、具体的なステップを提案しました。
「まず、『絶対に失えない資金』と『リスクを取れる資金』を明確に区別しましょう。佐藤さんの場合、教育費と住宅ローンの返済資金は絶対に確保すべきです」
永瀬さんの提案は以下の通りです。
ステップ1:安全資金の確保
「生活防衛資金として最低6ヵ月分の生活費と、今後5年以内に必要な資金(教育費など)を安全性の高い預金などで確保する」
ステップ2:投資可能額の再計算
「安全資金を除いた残りから、投資に回せる金額を計算し直す」
ステップ3:投資戦略の見直し
「失っても生活に支障がない金額で、リスク分散した投資を行う」
「残りの会社生活があと数年の佐藤さんの場合、株式だけでなく債券やバランス型ファンドなど、リスクを分散した商品選びが必要です」
佐藤さんは初めて希望が見えたような表情を浮かべました。
「では、今の投資はどうしたらいいでしょうか?」