(※写真はイメージです/PIXTA)
過去の失敗…「入社させるまで」がゴールだった
かつての私は、採用した人材を各地の事業所に配属した後、現場に任せきりでした。当時の私にとって、採用活動は「入社させるまでが自分の仕事」と考えていたからです。
30人の大学生を採用することを会社からの命令として達成し、入社式までに人員を確保することばかりに集中していました。その結果、採用が目標数に達すれば、自分の評価が上がる、ボーナスが増えるといった「数」にしか目を向けられていなかったのです。
しかし、当時の私は「入社式を迎えたらお役御免」という誤った考え方で、入社後のケアを怠っていたことが大きな間違いでした。実際に、採用した人材が全国各地にある事業所に配属された後、私は物理的な距離があることを理由にほとんどコミュニケーションを取りませんでした。つまり、配属後のケアを全く行っていなかったのです。
その結果、3年以内に多くの社員が辞めてしまい、採用活動が企業にとっても人材にとっても不幸な結果を生んでしまいました。
「魔の1年目」に必要なケア
このような失敗から学んだのは、採用は「入社させる」だけで終わらさず、「入社後の定着」を見据えたフォローが重要になります。さらに入社から1年間の「魔の1年目」にしっかりとケアを行い、社員が会社への信頼を築けるように支える体制が必要です。
新しい職場や業務に戸惑い、不安を抱えた時、気軽に相談できる環境があれば、社員は孤独感や疎外感を乗り越えられるでしょう。この1年を共に支え、信頼関係を築くことが「短期離職ゼロ」を実現する大切な要素となります。たとえば、1年目の社員には定期的な面談や先輩社員によるサポートを行うことが重要です。これにより、仕事の意義ややりがいを見つけられるよう支援し、孤独や不安を減らすことができます。
私もこうしたフォローの重要性を実感し、多くの企業で3年離職率を大幅に下げ、限りなくゼロに近づけることができています。この「魔の1年目」を乗り越えた社員は、企業への信頼や自信を高め、長期的な戦力として成長していきます。
菅谷 信一
株式会社アームズ・エディション 代表取締役