「昨日までの利益がすべて消えました」—世界情勢の急変で海外債券と株式証拠金取引で2,000万円以上が蒸発

「吉田さん、信用取引って知ってますか?自分の資金の3倍まで株を買えるんですよ。同じ値上がりでも、3倍の利益が得られるんです」

岡田さんは自身のスマホ画面を見せながら続けました。

「私はこの半年で1,000万円を3,000万円にしましたよ。半導体関連株がまだまだ上がると見ています」

信用取引の仕組みについて、証券会社の担当者からも「保証金を預けて、その何倍もの株を買える仕組み」と説明を受けました。ただし、「株価が下がると追加の保証金(追証)が必要になることもある」という説明は、吉田さんの期待に満ちた耳には届いていませんでした。

「なんて効率的なんだ。これなら子どもたちにも十分な遺産を残せる」と驚いた吉田さんは、まず1,000万円の保証金で3,000万円分の半導体関連株を購入。最初の1ヵ月は順調で、800万円ほどの評価益が出ていました。

しかし、ある日突然株価が急落。一週間で保有株の価値は半分近くに。証券会社から「追加保証金が必要です」という連絡が入ります。

追加で1,000万円を入金しましたが、株価は底打ちせず。わずか3ヵ月の間に、海外債券と株式とで2,000万円以上が蒸発していました。

「こんなはずじゃなかった……なぜこんな判断をしてしまったんだろう」