安定した職業と十分な退職金があっても、計画を誤れば老後破綻は誰にでも起こりうる現実となります。それは、安定した職業として広く認識されている立場であっても、老後の資金不足とは無縁ではありません。今回は、元国家公務員の60代夫婦を事例に、老後破綻を防ぐための対策について南真理FPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
私たちが?嘘でしょ…共に“元国家公務員”の安定夫婦、61歳時に「退職金3,500万円・貯蓄2,000万円」を確保。ヨーロッパ旅行を満喫、老後に胸躍らせていたが…1年後、突きつけられた「まさかの現実」に悲鳴【FPの助言】
老後も現役時代の延長線ではいられない
木村さん夫婦は、国家公務員として長年勤め上げ、退職金と貯蓄を手にして、理想的な老後生活を始めたはずでした。しかし、わずか1年で資金の減りが想定以上に早いことに気づき、不安を感じるようになりました。そこで夫婦はFPに相談し、家計を根本から見直すことに。
まず、外食や旅行などの支出を抑え、生活費には毎月の予算を設定しました。また、幸一さんは週3日、小百合さんは週2日の勤務を始め、夫婦で月20万円の収入を確保できることになり、貯蓄の取り崩しも抑えることができそうです。さらに、残っている資産は目的ごとに分けて管理し、安心感も得られたといいます。
こうした見直しにより、現在は無理のない範囲で楽しみながら暮らす老後生活を目指すことにしました。老後は、現役時代と同じ収入やライフスタイルが続くわけではありません。
だからこそ、しっかりとした資金計画と柔軟な家計の見直しが必要です。そしてなにより、老後だからこそ人生を自分の手で設計し直すチャンスでもあると前向きに捉える姿勢が、豊かで安心な暮らしを支える土台になるのです。
<参考>
人事院事務総局 令和5年退職公務員状況調査報告書https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2403/page_00055.html