安定した職業と十分な退職金があっても、計画を誤れば老後破綻は誰にでも起こりうる現実となります。それは、安定した職業として広く認識されている立場であっても、老後の資金不足とは無縁ではありません。今回は、元国家公務員の60代夫婦を事例に、老後破綻を防ぐための対策について南真理FPが解説します。
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私たちが?嘘でしょ…共に“元国家公務員”の安定夫婦、61歳時に「退職金3,500万円・貯蓄2,000万円」を確保。ヨーロッパ旅行を満喫、老後に胸躍らせていたが…1年後、突きつけられた「まさかの現実」に悲鳴【FPの助言】
国家公務員でも老後は赤字になる?調査データからわかる意外な実態
国家公務員の定年退職後の就業状況や生活状況についてまとめた「令和5年退職公務員状況調査報告書(人事院事務総局)」によると、退職後の世帯の家計状況について、就労の有無にかかわらず最も多かった回答は「ゆとりはないが、赤字でもない」で、全体の38.8%を占めました。
一方で、「毎月のやりくりに苦労しており、時々赤字が出る」が23.3%、「どうやりくりしても、常に赤字が出て生活が苦しい」が18.2%となっており、あわせて約4割の世帯が、程度の差はあっても「赤字である」と回答しています。
この結果からも、安定した職業というイメージのある国家公務員でも、退職後の生活に不安を抱えている世帯が少なくないことが分かります。
また、同報告書のなかで「退職前にもっと知っておけばよかったと思うこと」についての質問では、「年金、保険に関する情報」が51.6%で最も多く、次いで「資産運用に関する情報」が44.6%、「税金、相続に関する情報」が26.3%という結果でした。
なかでも、「資産運用に関する情報」は、前回の調査よりも回答数が増加しており、関心の高まりがうかがえます。 これらの結果からも、金融リテラシーの向上が必要であることに、退職後になってはじめて気づく人が多いという実態が浮き彫りになっています。