トランプ・ショックで全世界に混乱が広がっていますが、投資をしている限り暴落を避けることはできません。そのため、相場の回復を待つことが難しい年金生活者や退職間近の人は、リスク対策をより一層しっかりしなくてはなりません。さもなければ、取り返しのつかない事態に陥る可能性もあります。今回は、定年退職後に「年金プラス10万円」の不労所得獲得を目指して投資に手を出し、老後資金を目減りさせてしまった根岸さんの事例から、年金受給前後の人が投資を検討する際の注意点と対策を、CFPの松田聡子氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
投資になんて手を出すんじゃなかった…年金月18万円、資産2,600万円の68歳元会社員が“人気の投資”に1,200万円を投入。「月10万円の不労所得」を夢見るも、悲しい結末へ【CFPの助言】
「年金プラス10万円」の余裕があれば …65歳元会社員が投資を始めた理由
大手製造業で40年以上勤め上げた根岸昌弘さん(仮名・68歳)さんは、3年前の65歳で定年退職を迎えました。
退職金1,800万円と老後のために貯めてきた貯金800万円を合わせ、計2,600万円の老後資金を確保。根岸さんの年金が月に18万円、妻も8万円受給できるため、年金だけでも最低限の生活はできました。
しかし、「元気なうちに妻と海外旅行にも行きたいし、孫にも何か残してあげたい。年金プラス10万円あれば、もっと豊かな老後が送れるのに」という思いも心の中にありました。
そんなとき、定年退職した元同僚から「メキシコペソのスワップポイント投資で毎月10万円以上の不労所得を得ている」という話を耳にし、強く惹かれてしまったのです。
「FXなんてギャンブルだと思っていましたが、スワップポイント投資は違うように感じました。高金利通貨を保有しているだけで毎日スワップポイントが入ってくるし、為替が多少変動しても、もらったスワップポイントは減らない。リスクが低そうに思えたんです」
実際に元同僚が利益を得ているということも、根岸さんのガードを緩めました。こうして老後資金の約5分の1にあたる500万円から始めた投資でしたが、結果は上々。月々4〜5万円のスワップ収入を得られました。
さらに2022年から2024年前半にかけてはメキシコペソが対円で上昇トレンドにあり、「最初の6ヵ月で約50万円の含み益が出て、これは本当に『安全な投資』だと確信してしまった」と言います。
この成功体験に気を良くした根岸さんは投資額を1,200万円まで増やし、目標だった月10万円の不労所得を実現しました。