健診などで「血糖値が高い」と指摘され、糖質の摂取量をおさえようと「糖質制限」を行っている人は多いでしょう。しかし、主食のご飯やパンをまったく食べないといったような“極端な糖質制限ダイエット”を継続した場合、かえって血糖値が上がりやすくなるケースがあると、糖尿病内科医の大坂貴史氏はいいます。著書『血糖値は食べながら下げるのが正解』(KADOKAWA)より、その理由と主食選びのコツについてみていきましょう。
糖尿病の専門医が糖尿病“予備軍”の患者に「ご飯(お米)を食べて」と伝えたワケ【医師が警告】
ご飯でもパンでもOK…継続して食べやすい主食を選ぶ
「糖尿病や糖質制限のリスクがよくわかりました。今後は、主食を食べるようにします。ちなみに、白米よりも玄米のほうがいいですか?」
「坂田さんは玄米が大好きで、毎日食べられますか?」
私が先生にたずねたのに、なぜか疑問形で返される。率直に私の意見を述べた。
「玄米は好きですが、たまにだから食感を楽しめる感じですかね。やっぱり白米はおいしいし、玄米を自宅で炊くのは難しそうです。家族もいますし……」
「では、たまに取り入れるようにしてみてください。大切なのは継続することです。確かに白米よりも玄米のほうが血糖値を上げにくいですし、食物繊維量も栄養価も高いです。ただ突然100%玄米にしても、続かなければ意味がありません。白米にもち麦や雑穀をプラスすれば食物繊維量を増やせますし、炊飯器で簡単に炊くことができます。おいしく手軽に続けやすい方法で食事を楽しんでください」
食事を楽しんでいいなんて、まだちょっと信じられない。
「ご飯はどれくらいの量を食べていいのでしょうか?」
「坂田さんはお仕事はデスクワークでしたよね? 運動習慣は?」
相変わらず、質問をすると質問で返される。しかも、ご飯の量を聞いているのに、なぜ運動習慣なんだろう……。
「デスクワークで、運動はニガテです」
「そうすると1日約1,800kcalが必要なエネルギー量になるので、1食で600kcal。このうち半分程度を主食にするなら、お茶碗1杯で150gくらいですね。この量のご飯で体重が増えるなら、おかずから脂質を摂りすぎていたり、間食や飲み物からカロリーを摂りすぎていると考えてください」
やっと理解できた、先生が私の質問に対して質問で返してくるのは、私の生活に合う答えを一緒に探すためだったのだ!
「ちなみにパンでもいいですか?」
「パンは好きですか?」
「はい。というか、朝はラクなので」
「朝食にパンでもいいですよ。ご飯150gに相当するカロリーは、6枚切りなら1.5枚、8枚切りなら2枚、ロールパンなら2〜3個。目安としては100gと覚えておくといいでしょう。パンについてもご飯と同じで、全粒粉のパンを選べば血糖値は上がりにくいです」
「ランチはコンビニか外食が多いのですが……」
「コンビニランチならそばがおすすめです。それに、とりむね肉入りのサラダをプラスすれば栄養バランスが整いますよ!」
〈先生からの処方箋〉
未精製の穀類は血糖値を上げにくい。ご飯でもパンでもローテーションしながら、飽きずに続けて!
大坂 貴史
糖尿病専門医・指導医
総合内科専門医