海運会社に勤める加納さん(仮名・54歳)には、勉強ができて非行とは無縁、反抗期もほとんどなかった2人の息子がいます。ただ、加納さんはそんな“理想の子ども”だった息子たちの将来について「心配でたまらない」といいます。ルポライター増田明利氏の著書『今日、50歳になった 悩み多き13人の中年たち、人生について本音を語る』(彩図社)より、50代の“生の声”をみていきましょう。

(※写真はイメージです/PIXTA)
お先真っ暗です…法科大学院卒の26歳長男、就活エリートの24歳次男、“よくできた息子たち”の「予想外の進路」に年収740万円・54歳父が悲鳴【ルポ】
加納一家を待ち受ける?“お先真っ暗”な未来
今のようにフラフラできるのは25歳がいいところ。キャリアアップして転職したのではなく不適応で職を転々としているだけではお先真っ暗だ。
2人ともまだ20代なのでどうにかなる。心配し過ぎだと思っているかもしれないが時間が経つのは早い。手遅れにならないうちに生き方を修正してくれないと困る。
「わたしは定年後も継続雇用で働くつもりですが、収入は大幅に下がってしまう。年金生活に入っても年金だけでは毎月数万円足りないと言われているでしょ。そしたら貯金を取り崩すことになる。子どもたちへの援助なんて無理です」
自分たちが大病をしても息子たちを頼れないのに蓄えは減っていく。下手をしたら共倒れという危険もある。
「もしもですが、わたしら夫婦のどちらかが介護が必要な状態になったらお先真っ暗。息子たちには早く自立してもらい、自力で生活を営めるようになってもらいたい」
2人とも勉強は良く出来たし非行とも無縁。反抗期もほとんどなく子どもは当たりだと思っていたが、成人してから心配をかけられるとは思わなかった。
増田 明利
ルポライター