就職氷河期やリーマンショックを経験した団塊ジュニア世代は、貧乏くじ世代と呼ばれることも。彼らは50代になったいま、リストラや転職についてどう考えているでしょうか。『今日、50歳になった 悩み多き13人の中年たち、人生について本音を語る』(彩図社)著者でルポライターの増田明利氏は、50歳~54歳の5人にインタビューを行いました。詳しくみていきましょう。

辞めたくなるように誘導するんです…就職氷河期世代の50代サラリーマンが暴露。終身雇用の国・日本で「使えない会社員」が受ける仕打ち
教師が木刀で…体罰と校内暴力で荒れていた80年代の学校事情
〈座談会の参加者プロフィール〉
・早瀬祐壱(50歳)
74年生まれ/97年大学卒/非鉄金属会社勤務、法人営業を担当する管理職。家族は妻(小売業パート)と一男一女
・田淵智宏(51歳)
73年生まれ/96年大学卒/リース会社勤務、信用調査、債権管理などの業務に従事。家族は妻(専業主婦)と二女
・望月稔(52歳)
72年生まれ/95年大学卒/流通業・準大手スーパー勤務、神奈川県内の中型店で副店長を務めている。家族は妻(美容師パート)と一男。
・菅原雅史(53歳)
71年生まれ/94年大学卒/物流業・営業所長。家族は妻(保育士・非常勤)と一女。
・安田美奈子(54歳)
70年生まれ/91年短大卒/短大卒業後は生命保険会社に就職、結婚後も勤めていたが出産のため退職。現在は主婦兼たまにパートタイマー。家族は夫(科学薬品メーカー技術職)と二男。
――小中高校時代はどんな様子でしたか?
菅原:小学校のときのことはまったく覚えていない。中学は物騒だった。川崎の市立中学なんですが校内暴力がひどかった。
田淵:教師の体罰は日常茶飯事でしたね。木刀で殴るとか足蹴にする教師もいた。会社の新人君たちに昔の中学のことを話したら信じられないと驚いていた。
早瀬:不登校の子がチラホラ現れてきた頃でしたね。学年で10人ぐらい長期欠席の子がいたな。中3のときのクラスにはほとんど学校に来なかった女の子がいた。
安田:ツッパリとか不良自慢していた人は今どうしているんでしょう?
望月:18歳で出来ちゃった結婚し、19歳で出産。21歳頃に離婚して地元からいなくなり、27歳ぐらいのときにどこかのラブホテルで絞め殺されたのがいましたね。
菅原:5年ぐらい前のことなのですが新聞に特殊詐欺の出し子が逮捕されたという記事が載っていたのですが、名前を見たら中学の1学年上で当時から問題児と言われていた人だった。言っちゃ悪いがやっぱりなと思った。
田淵:若いときに非行化傾向のある人は大人になっても道を踏み外す確率が高いよ。三つ子の魂百までと言うでしょ。
早瀬:悔しいけど中学のときの成績と大人になったときの職業階層、社会的階層はリンクしていることが多い。偏差値の高い進学校や大学付属校に進学できた人はいい仕事に就いている確率が高いと思う。経済的にも豊かな人が多いでしょ。
菅原:それはありますね。40歳のときにクラス会があって行ってみたのですが、進学校から国立大学の医学部に進み、准教授に出世していたり、司法試験に通って弁護士になっていたのもいました。上位大学、ブランド大学を卒業したのは大手企業の管理職が普通。こんな塩梅だった。
望月:公立中学のクラス会って残酷だよね。中年になってクラス会に来るのは上手くいっている人、そこそこ出世している人でしょ。上手くいっていなかったら昔の知り合いに会いたくないもの。
安田:嫌な噂話も聞きますよね。所在不明になっている人もいるし、若くして亡くなっている人もいるから。
菅原:その点、高校のクラス会は気楽なものよ。頭の出来も家庭環境も同じようなのばかりでしょ。もの凄く出世しているのはいないから変な劣等感を抱かなくて済む。