就職氷河期を経験した中年はいま定年退職を控え、定年後の生活について考えています。選択肢のひとつである再雇用ですが、現場では「あまり歓迎されない」という現実も。『今日、50歳になった 悩み多き13人の中年たち、人生について本音を語る』(彩図社)著者でルポライターの増田明利氏は、50歳~54歳の5人にインタビューを行いました。50代男女の“生の声”を聴いてみましょう。

もっと会社にいたかったな…年収450万円なら20年で9,000万円「都内にマイホームが買える金額」を“暗黙の了解”で手放した54歳・氷河期世代の後悔
不安で仕方がない「定年後」のこと…地方移住という選択も
〈座談会の参加者プロフィール〉
・早瀬祐壱(50歳)
74年生まれ/97年大学卒/非鉄金属会社勤務、法人営業を担当する管理職。家族は妻(小売業パート)と一男一女
・田淵智宏(51歳)
73年生まれ/96年大学卒/リース会社勤務、信用調査、債権管理などの業務に従事。家族は妻(専業主婦)と二女
・望月稔(52歳)
72年生まれ/95年大学卒/流通業・準大手スーパー勤務、神奈川県内の中型店で副店長を務めている。家族は妻(美容師パート)と一男。
・菅原雅史(53歳)
71年生まれ/94年大学卒/物流業・営業所長。家族は妻(保育士・非常勤)と一女。
・安田美奈子(54歳)
70年生まれ/91年短大卒/短大卒業後は生命保険会社に就職、結婚後も勤めていたが出産のため退職。現在は主婦兼たまにパートタイマー。家族は夫(科学薬品メーカー技術職)と二男。
――50代に入ると会社にいられるのはあと10年ぐらい。セカンドキャリアを考え始める人が多いと聞きますが皆さんはいかがですか?
安田:夫がまさにそれです。来年56歳になったら役職定年で降格、58歳になったら早期勧奨退職の対象者になるんです。どうするつもり? って聞いたけどまだ分からないと他人事みたいだった。ちょっと心配しているのですが。
菅原:管理職から外れると手当てがカットされるので収入がガクンと減る。権限も剝奪されるので辛いよな。下の者たちの接し方も微妙に変わるから。
田淵:だけど責任がなくなるので気楽だという人もいますよ。ストレスから解放されて伸び伸びしている。
望月:定年後のことなど考えたことがありますか? 再雇用で残るか外へ出るか、それとも起業するとか。あるいは東京を離れて地方に移住するとか。
菅原:残りたい気持ちは8割、外もいいかなが2割。ただ他社に移ったときに上手く適応できるかとか、自分に何が出来るか不安がある。