限られた土地の中に理想の住まいを実現させるのは至難の業です。平松建築株式会社・代表取締役の平松明展氏の著書『住んでよかった家 理想の暮らしがずっと続く15の空間』(KADOKAWA)より、広いガレージと駐車場、そして二世帯が快適に暮らす居住スペース両立させた事例を紹介します。スペースの有効活用、そして家族全員が満足できる住まいとは? みていきましょう。
ガレージと駐車場が居住エリアを圧迫…限られたスペースを二世帯ファミリーが無駄なく住む「間取り」【工務店社長が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

最初に収納や家具まで設置するメリット…建材や意匠を含めた注文もできる

当然ですが、家の構造を変えることはかなり難しいことです。建て直したほうが費用面としてお得なことも少なくありません。事例の家では、大黒柱を標準の2倍近くの大きさ(標準10.5cmに対して20cm)の建材を使用しています。これは大工であるオーナーが家づくりのために以前から購入していたものでした。注文住宅の場合、こうしたイレギュラーな要望に対しても柔軟に対応することができます。ほかの事例でも古材や錆びた建材をあえて使いたいというものがありました。これらはあとから対応することのできない注文です。

 

収納家具においても同様のことがいえます。事例の家のように仏壇を置くことが決まっていれば、専用のスペースを設置することができ、無駄なスペースが生まれません。壁面収納においても構造上の条件、デザイン性という観点から最初に設置しておくと、最終的に費用も抑えられることになります。

 

収納量が思った以上に多く、あとから収納家具をどんどん設置して、家のデザイン性が悪くなることも避けたいですよね。造作家具はこうした事態を避けるメリットもあります。また、建材を利用した意匠を盛り込むこともデザイン性を高める要素といえるでしょう。ただし、想定が不十分だと、無駄になることもあります。想定が困難な場合は後づけのプランも念頭におくとよいでしょう。

 

私たちプロでも「家づくりは難しい」と日々感じています。家づくりで考えることは膨大なので、事例を1つでも多く見ておくことが役立ちます。実際にモデルルームを訪れることが一番ですが、住宅会社によっては事例を映像化していることもあります。遠方にいながらルームツアーさながらに事例を見ることができ、そこで得たものをヒアリングでお話しすると、より詳細な設計につながるかと思います。家を完成させる前に、こだわりがいかされた設計図を求めるようにしてください。本記事がその一助になるとうれしいです。

 

図面と実際の家とのギャップをなくすポイント

配置図、平面詳細図、立面図など紙ベースで完成した家を想像するのは困難。思ったより玄関やキッチンが狭かった、リビングは平米数を大きくしたのに狭く感じる、といったギャップが生まれるのは、よく聞く話である。その際、有効になるのがCADシステムでの確認。画像や映像で外観や内観を立体的に確認しながら図面を見ていくと、イメージどおりの家になりやすい。