「あと少し、老後資金があれば……」と考えるのは、多くの年金世代に共通する思いです。64歳のAさんも、そんな思いから株式投資に退職金を投じました。「安定した配当収入が得られる」と期待したものの、株価の急落や配当減額に翻弄され、思わぬ結末に。しかし、これは決して他人事ではありません。同じ轍を踏まないためにも、今回は、64歳Aさんの事例をもとに、シニアの投資の注意点について、FPの三原由紀氏が解説します。

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老後は妻と日本中の温泉巡りを…年金見込額22万円・資産3,000万円の64歳市役所職員「あと数万円あったら」少しの贅沢を求めた結果、待ち受けていた“悪夢のような毎日”に憔悴【FPの助言】
高配当株投資を始めるときの5つのポイント
Aさんのような失敗を防ぐために、高配当株投資を行う際のポイントを押さえておきましょう。
1. 配当利回りだけで銘柄を選ばない
高配当だけを基準に選ぶと、業績不振で株価が下落し配当利回りが見かけ上高くなっている銘柄に手を出す危険があります。財務状況や株主還元への意識、将来性も含めて総合的に判断しましょう。
2. 一部の業種・銘柄に集中投資しない
似たような業種や特性の銘柄に集中投資すると、同じ要因で一斉に下落するリスクがあります。業種・特性などの異なる銘柄に幅広く分散投資することが重要です。
3. 配当金は保証されていないことを理解する
株式の配当は会社の業績や方針によって変動します。いつでも減額や停止の可能性があることを理解しておきましょう。
4. 資産の大部分を株式に投じない
退職金や相続資産の大部分を株式に投じるのはリスクが高すぎます。預金や債券なども組み合わせ、バランスを考えた資産配分を心がけましょう。
5. 十分に勉強する/FPや専門家に相談する
投資を始める前には十分に勉強すること。また、必要に応じて信頼できるFPやIFAなど金融の専門家に相談し、自分に合った資産運用プランを立てることが大切です。特に退職金や相続資産など大きな資金を運用する場合は、専門家の意見を聞くことで以下のメリットがあります。
- 資産状況や目標、リスク許容度に応じた適切な運用提案
- 市場動向や金融商品に関する制度を含めた最新情報の入手
- 感情に左右されない客観的な判断