(※写真はイメージです/PIXTA)
自由奔放な父とは付かず離れずの娘たち
Aさんには妻Bさんとのあいだに2人の娘、CさんとDさんがいます。2人とも親元を離れて家庭をもっており、それぞれの夫の職場近くに住んでいます。
娘たちは母親の死後、父であるAさんの生活を心配していましたが、一人でなんとか暮らしている姿に安堵しました。それと同時に、自由奔放な父の生活に関わってしまうと面倒なことも増えるだろうと、積極的な関わりも持たずに距離をとって過ごしていました。
外食が続く一人暮らし…タイミングよく紹介された家政婦
いきつけのお店で食事をとる生活を続けていたAさんは、お店で知り合ったお客さんから一人の女性を紹介されます。家政婦業をしているという女性Eさんでした。60代のEさんは料理が得意。一度お試しプランで来てもらったEさんの料理はAさんの口にぴたりと合いました。気をよくしたAさんはEさんに定期的に来てもらい、食事の世話はもとより家事の手伝いをしてもらうようになりました。Aさんの要望に的確に応えられるEさんに、Aさんの生活も一変します。
そんな様子を伝え聞いていた娘たちは、母親との思い出からどこか複雑な心境を交えながらも「お父さんが元気でいてくれるなら」とそっと見守っていたようです。
父の死で明らかになる驚愕の事実
そんなAさんにもやがて旅立ちのときが訪れます。寄る年波に抗うことはできずに83歳でこの世を去ったのです。ところが、娘たちは父親の相続手続きを進めていくうちに驚愕の事実を知ることになります。
戸籍謄本を取り寄せたところ、父親AさんはEさんと再婚していたのです。60代になった娘のCさん、Dさんにこの入籍は知らされていませんでした。入籍していただけでも驚きですが、整理を進めるなかでさらに衝撃の事実が発覚します。なんとAさんは「自分の全財産をEさんに相続させる」という公正証書遺言を作成していたのです。
「Eさんとしっかり結婚生活をした痕跡がないにも関わらずどうして?」まさかの展開にCさん、Dさんは困惑します。EさんのことをCさんもDさんも詳しくは知りません。Eさんとの連絡を試みる前に、父親がよく通っていたスナックのマスターに事情を知らないか聞いてみることにしました。