昨今の物価高騰は、私たちの食卓に容赦なく押し寄せており、外食産業もその影響を免れません。たとえば『カレーハウスCoCo壱番屋』では、2024年5月に原材料やエネルギーコストの上昇を受けて、ベースのカレーやトッピングなど、ほとんどの商品を値上げしました。背景には、原材料価格の高止まりや円安による輸入コストの増加に加え、物流費や人件費の上昇が重なっています。こうした状況はCoCo壱番屋に限らず、多くの外食産業で値上げが相次ぐ要因となっています。その結果、CoCo壱番屋では1000円を超えるカレーも珍しくなくなりましたが、豊富なトッピングを組み合わせることで、自分だけの「最強カレー」を作り出す楽しみは健在です。57種類ものトッピングから選び抜いた最強の組み合わせとはなにか、東山広樹氏の著書『国民的チェーンめし研究 〇〇の△△はなぜうまいのか?』(カンゼン)より、紐解いていきます。

(※写真はイメージです/PIXTA)
値上げで1,000円超は当たり前…〈CoCo壱〉トッピング57種から選び抜いた「税込1,178円」最強の組み合わせ
『カレーハウスCoCo壱番屋』の「カレー」はなぜうまいのか?
『ココイチ』の愛称で知られるカレー専門店の売りは、なんといっても豊富すぎるカスタマイズに尽きる。5種類のカレーベース、14段階の辛さ、57種類のトッピング――。著者が考えるベスト・オブ・ベストの組み合わせとは?
『カレーハウスCoCo壱番屋』との出会い
『カレーハウスCoCo壱番屋』の「カレー」はどのジャンルに当てはまるのだろう? それは「ジャンル:CoCo壱番屋のカレー」である。僕はインドカレーをはじめ、いろいろなカレーを今まで作ってきたけれど、『CoCo壱番屋』のカレーだけはマジで作り方が分からん、ってくらい特殊なカレー。そして、めちゃくちゃうまいんだよなぁ……。
あまりに『CoCo壱番屋』の「カレー」がうますぎて、日本に来るインド人もめちゃくちゃハマるらしい。そして、ついにはカレーの聖地・インドへの進出を果たした! しかもかなりの人気があるとのこと。これはすさまじい功績だと感動し、涙腺が緩むばかり。

[画像1]『カレーハウスCoCo壱番屋』創業/1978年、1号店/西枇杷島(愛知県清須市)、店舗数/約1190 出所:『国民的チェーンめし研究 〇〇の△△はなぜうまいのか?』(カンゼン)より引用
イラスト:蒼井すばる
イラスト:蒼井すばる
トッピング57種、辛さ14段階、カレーベース5種…豊富な組み合わせ、それでも個性を失わない「CoCo壱のカレー」
「カレー」のテクスチャーはサラサラとトロトロの中間のような不思議な感じ。スパイスは何かのスパイスが突出しているわけじゃないんだけれど、インドとも欧風とも固形ルーとも違う配合で、スパイシーだけれどスパイシーすぎない。味わいは日本らしくうま味がしっかり強いけれど、鰹節とかみたいな和だしのニュアンスはなくて、とにかく米とめちゃくちゃ合う。あえてひと言で説明すると“飄々としているカレー”。フワフワといろいろなバランスをうまく取っていて、そのバランス感がめちゃくちゃ巧み。