1968年、三田に誕生した『ラーメン二郎』は、半世紀以上にわたり多くの熱狂的な支持を集めてきました。「二郎はラーメンにあらず、二郎という食べ物なり」——この格言が示すように、『ラーメン二郎』は単なるラーメン店を超えた、熱狂的なファンを持つ唯一無二の存在です。超濃厚な豚骨スープ、極太麺、そして山盛りのもやしという強烈な個性を放つ一杯は、多くの人々を虜にし、“ジロリアン”という熱狂的なファン層を生み出しました。 一杯のラーメンが、なぜこれほどまでに人々を惹きつけ、経済現象ともいえるほどの熱狂を生み出すのでしょうか? 東山広樹氏の著書『国民的チェーンめし研究 〇〇の△△はなぜうまいのか?』(カンゼン)より、『ラーメン二郎』の秘密を、科学的な視点と情熱的な分析で紐解いていきます。
なぜ我々は〈ラーメン二郎〉に脳が歓喜するのか?「週3~5杯食べ続けた人」の衝撃のいま
『ラーメン二郎』の「ブタ入りラーメン」(+ヤサイ・アブラ・ニンニク)はなぜうまいのか?
「二郎はラーメンにあらず、二郎という食べ物なり」という格言があるほど、『ラーメン二郎』はもはや神格化された存在だ。「ジロリアン」でもある著者が『二郎』の〈一体感〉と〈食感〉、そして〈愛〉を科学的&情熱的に語る。
『ラーメン二郎』との出会い
みなさんは『ラーメン二郎』をご存じだろうか?
超濃厚で塩辛いくらいにしょっぱい豚骨スープに、超極太麺。そして、もやしがどかんと山盛り。もやしの頂点には火山の溶岩のごとくトロトロの背脂がかけられており、特大の豚角煮を思わせるほどの大きさのチャーシューが雄大に鎮座している。
食べたことがない方も、このビジュアルには見覚えがあるのではないだろうか?
僕が、初めて『ラーメン二郎』に出会ったのは約22年前。
浪人生だった僕は『ラーメンガイドブック』で見つけたこのビジュアルに強い衝撃を受け、すぐに訪問。初めて食べたときの感想は、「こんなラーメンがこの世に存在するのか?」という感じで、あまりに初めての味体験に脳の情報処理が追いつかなかった……。
それでも無性に食べたくなり、三度も通った頃には“二郎がないと生きられない”というくらいにハマってしまった。
大学生の頃は、週に3~5杯くらいは『ラーメン二郎』を食べ続けていたのだが、まったく飽きなかった……。今では頻度は減ってしまったけれど、間違いなく僕の人生を変えたラーメンである。昔からすごく人気があった『ラーメン二郎』だけれど、今となっては「二郎系」というジャンルも生まれるほどの定着ぶり。『ラーメン二郎』の店舗はどこも超人気で行列が絶えず、二郎系のインスパイア店もかなり人気で行列店も数多く存在する。
なぜ『ラーメン二郎』はこれほどの人気があるのだろうか?
そして、なぜ美味しいのか?
その美味しさの理由について、科学的な視点も踏まえ、スープについて分析していこうと思う。

