1968年、三田に誕生した『ラーメン二郎』は、半世紀以上にわたり多くの熱狂的な支持を集めてきました。「二郎はラーメンにあらず、二郎という食べ物なり」——この格言が示すように、『ラーメン二郎』は単なるラーメン店を超えた、熱狂的なファンを持つ唯一無二の存在です。超濃厚な豚骨スープ、極太麺、そして山盛りのもやしという強烈な個性を放つ一杯は、多くの人々を虜にし、“ジロリアン”という熱狂的なファン層を生み出しました。 一杯のラーメンが、なぜこれほどまでに人々を惹きつけ、経済現象ともいえるほどの熱狂を生み出すのでしょうか? 東山広樹氏の著書『国民的チェーンめし研究 〇〇の△△はなぜうまいのか?』(カンゼン)より、『ラーメン二郎』の秘密を、科学的な視点と情熱的な分析で紐解いていきます。
(※写真はイメージです/PIXTA)
なぜ我々は〈ラーメン二郎〉に脳が歓喜するのか?「週3~5杯食べ続けた人」の衝撃のいま
「豚肉のうま味」を使い尽くす
これもホントにすごい。ポイントはふたつあって、
1.スープとして煮出した豚骨で二番だしをとる
『ラーメン二郎』にはスープ用の大きな寸胴がふたつあって、ひとつはメインスープ、もうひとつは二番だしスープ。メインスープ寸胴の中で豚骨(ゲンコツ&背骨)を6時間煮出して、その豚骨を取り出して別の大きな寸胴に入れて、水を加えてまたスープをとる。これが二番だし。メインスープはお客さんに出すためどんどん減ってくる。そうしたら、メインスープの中にまた新たな豚骨を入れるのだけれど、そのときに水を加えるのではなくて、二番だしを加える。
このようにして、ひとつの豚骨から徹底的にうま味を絞りとる!
2.「ブタ」を醤油ダレにつける
「国民的チェーンめし」の脳天直撃的うまさを、科学的かつ情熱的に言語化かつ構造化!!
『二郎』では、スープの中で煮込んだ豚の腕肉を醤油ダレにドボンとつけて、その醤油ダレがしっかりつかった豚の腕肉を「ブタ」として豪快にラーメンの上に載っけている。スープで煮た豚の腕肉をタレに入れることで、タレにまで豚肉のうま味を溶かし出す。そう! 『二郎』は一滴たりとも豚のうま味を無駄にしない!
東山 広樹
株式会社マジでうまい
代表取締役
蒼井 すばる
イラストレーター