(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの不動産投資家にとって既存不適格物件は避けるべきものと考えられがちですが、実際には購入を検討しても良い場合があります。本コラムでは、既存不適格物件の定義や違法建築との違い、既存不適格となる主な原因などを解説します。不動産投資をする上で適切な判断ができるようにぜひご覧ください。

既存不適格物件でも購入しても良い場合

(画像:PIXTA)
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既存不適格物件には前述したリスクがありますが、適切な判断と戦略があれば、投資対象として検討する価値は十分にあります。ここでは既存不適格物件でも購入しても良い具体的なケースを解説します。

 

・立地条件が優れている場合

・取得価格が十分に安い場合

・現状のまま長期運用が可能な場合

・将来的な法改正や都市計画の変更の可能性がある場合

・リノベーションによる価値向上が見込める場合

 

立地条件が優れている場合

駅前や繁華街など、非常に優れた立地にある既存不適格物件は、その希少性から高い需要が見込まれる可能性があります。このような物件は、賃貸需要が安定していることが多く、収益性を確保しやすいです。

 

例えば、都市部の商業地域にある既存不適格物件は周辺の再開発や経済活動の活性化により、将来的な価値情報の可能性も高くなります。このように、立地の良さや周辺環境によって既存不適格のデメリットを上回る場合、投資対象として検討する価値があるでしょう。

 

取得価格が十分に安い場合

既存不適格物件は一般的に市場価格が低く抑えられています。取得価格が十分に安ければ、初期投資を抑えることができ、投資利回りを高める可能性があります。例えば、同等の立地・規模の適格物件と比較して大幅に安く購入できる場合、リスクを考慮しても十分な投資メリットがあると言えます。

 

ただし、是正工事費用や将来的な改修のコストも考慮に入れる必要があります。既存不適格物件は相場と比較して価格が低いため利回りが高く魅力的ですが、実際には是正工事に追加の費用がかかる場合もあることを理解しておきましょう。

 

現状のまま長期運用が可能な場合

建物の状態が良好で、大規模な改修や建て替えが当面必要ない場合は、既存不適格物件でも長期的な運用が可能です。特に、耐震性能が十分で設備も比較的新しい物件であれば、安定した賃貸収入を長期にわたって得られる可能性が高くなります。また、定期的な点検やメンテナンスを適切に行うことで、建物の寿命を延ばし、投資期間を長くすることができます。

 

将来的な法改正や都市計画の変更の可能性がある場合

地域の再開発計画や法改正の動きがある場合、将来的に既存不適格状態が解消される可能性があります。例えば、2025年4月に予定されている建築基準法の改正には、古い既存住宅などの省エネ化や長寿命化を促す目的で、既存不適格物件における現行基準の適用を一部免除する内容が盛り込まれています。

 

具体的には、接道義務や道路内建築制限の既存不適格となっている物件について、現行基準は大規模修繕や増改築工事の際には、現行基準適合が必要です。しかし改正後は、市街地環境に大きな影響を与えないと認められる大規模な修繕や模様替えを行う場合は、現行基準を適用しないとされています。このような動向を見据えて投資判断を行うことで、将来的な価値上昇の機会を捉えることができます。(2025年2月現在での記載になります。)

 

出典:国土交通省「既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化」

 

リノベーションによる価値向上が見込める場合

リノベーションを行うことによって価値向上が見込める場合は、既存不適格物件でも投資の選択肢として検討しても良いでしょう。前述した通り、2025年4月の法改正によって既存不適格物件のリノベーションのハードルが下がります。そのため、適切なリノベーションを行うことで物件の魅力を高め、賃料収入の増加や資産価値の向上を図ることができます。

 

例えば、内装や設備の更新は比較的容易に実現可能であり、キッチンやバスルームの刷新は日常生活の質を大きく向上させるため、物件価値を高めることができます。このようにリノベーションによって、物件価値を向上させられる見込みがある場合は、検討する価値があります。

 

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