ライフスタイルの一つである「FIRE」。実現には十分な資産を築くための時間と労力が必要です。しかし、必ずしも多額の資金が必要とは限らないケースもあって……。本記事ではAさんの事例とともに、FIREの多様な可能性について社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が考察します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
心が満たされています…。33歳・貯金1,000万円でFIRE達成。米はタイ産、鶏肉はブラジル産、住まいは千葉の家賃3万円騒音アパート、訪ねた両親も首をかしげる「あまりに奇怪な暮らしぶり」 【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

Aさんの暮らしぶり

万一のときのため、実家(千葉)からそう遠くない同県内で家賃3万円以下の物件を探し、節約生活をはじめました。究極の節約生活のために、大好きだったタバコもやめました。Aさんが引っ越したアパートは、壁が薄すぎるうえ、隣人による騒音問題があります。大家もうるさくいわないせいか、FIREをはじめてから3回ほどお隣さんが変わりましたが、全員なぜか宴会好きでした。ですが、Aさんはいつでもどこでも寝られるタイプ。なんの苦にもならないそうです。

 

基本的に電気は点けず、暗闇の中で生活し、夜は早寝するか、スマートフォンやパソコンの明かりで過ごします。米はタイ産、鶏肉はブラジル産。水耕栽培で豆苗を育て、食費は極限まで抑えることができるといいます。また、いち早くポイ活を利用しはじめ、高ポイント案件などお得なキャンペーンがないか、常に目を光らせているのです。

 

究極の節約生活を楽しみFIREを達成する

はたから見ると極端な節約にみえるかもしれませんが、もともと質素倹約の生活を送ってきたAさんは「心が満たされています」と笑顔です。

 

FIRE開始当初、訪ねてきた両親や友人はいつまで耐えられるかと首をかしげていました。しかしAさんにとっては住めば都です。今年で早期退職・FIREから10年。いまも自分の人生の選択に満足しています。FIRE達成にもさまざまな生活があり、一番は本人が快適であることが大切なのかもしれません。

 

 

三藤 桂子

社会保険労務士法人エニシアFP

代表