「まさか、こんな理由で……?」。年収800万円、20年以上の勤続年数、完璧な返済履歴。「十分審査は通るはず」と考えていた住宅ローン申請で、中井仁さん(55歳、会社員)は思いもよらない壁に直面しました。その理由は、日々の買い物習慣に潜んでいたのです。ファイナンシャル・プランナーの青山創星氏が詳しく解説します。

(※写真はイメージです/PIXTA)
銀行員「残念ですが…」年収800万円・勤続20年以上の55歳会社員、念願のマイホームの購入を決めるも、住宅ローン申込みで「まさかのお断り」となったワケ【FPの助言】
住宅ローンの申し込みにあたって知っておきたい重要なポイント
中井さん夫妻のケースから、住宅ローンの申し込みにあたって学ぶ重要なポイントは以下のとおりです。
・リボ払いやキャッシングは実質的な借入として扱われるので、キャッシング枠はゼロにしてリボ払いの残債を含む他のローンもできるだけ返済する
・返済負担率は住宅ローンとその他借入を合算して判断
・限度額いっぱいの利用は要注意
・家族カードの利用状況も要チェック
・返済負担率は住宅ローンとその他借入を合算して判断
・限度額いっぱいの利用は要注意
・家族カードの利用状況も要チェック
特に注意が必要なのは、クレジットカードの金利負担です。一般的なクレジットカードの実質年率は15%前後ととても高いものです。そしてさらに、真紀子さんの使っていたリボ払い(元利均等返済)の場合には、ローン残高の増減にかかわらず毎月の返済額が変わらいないため、ローン残高が増えるとローン期間が延びて利息額がウナギ登りに増えて行きます。
例えば、毎月8万円のリボ払い(元利均等返済)にした場合を考えてみます。50万円のローン残高なら完済まで7ヵ月で金利負担は2.4万円ですが、2倍の100万円のローン残高になると完済まで14ヵ月で金利負担は4倍弱の8.9万円にハネ上がります。
ローン残高が増えても毎月の返済額は8万円で変わらないため毎月の負担感が変わらないという利点があります。しかし、トータルとしては大幅に負担が増えてしまうこととなります。
この金利負担は、実は住宅ローン(現在、変動金利で1%以下)の10倍以上。便利さゆえに見過ごしがちですが、使い方を誤ると家計を大きく圧迫する原因にもなります。
マイホーム購入という大きな決断の前に、まずは足元の家計、特にリボ払いなどの借入状況をしっかりと見直すことから始めましょう。それが、夢を確実に実現する第一歩となります。
青山創星
ファイナンシャルプランナー