今年4月からの年金額が確定となりました。額面は増額となりましたが、物価高騰分を加味すると実質は減額となります。限られた収入のなかでやりくりするしかない年金生活者は、さらに苦しい生活を余儀なくされそうです。
この国は終わってるよ…〈年金月10万円〉〈時給1,280円〉週5のバイトで食いつなぐ79歳男性、年金減額と失業を前に嘆き「どう生きていけと」 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金を受け取るタイミングで判明「あれっ、ちゃんと保険料を払っていない!?」

西村さん、年金は月10.3万円ほど。家賃4万2,000円のアパートに住んでいますが、年金だけではとても暮らしていけず、警備員のアルバイトを10年以上も続けています。現在の時給は1,280円。1日8時間、週5日勤務。月収は22万円強となり、年金と合わせると十分暮らしてけます。

 

――この年になると働くのも辛い。仕事なんて辞めたい。でも辞められないのよ、あんな年金じゃ

 

正社員で働いてきた人であれば月17万円の年金が受け取れる……これが平均的なモデル年金ですが、西村さんが受け取っている年金は月10万円。その差はいったい?

 

実は西村さん、30~40代にかけて働いていた会社で年金保険料を払っていない(天引きされていない)ことがあとで発覚。すでにその会社は倒産していて、どうすることもできなかったといいます。

 

――ほかに天引きされているものはあったから、何もおかしいとは思わなかった。年金をもらうときになって、保険料の納付期間が240ヵ月しかなくて。「自分は40年以上サラリーマンをしてきたのに、あれっ、おかしい……」となったんですが、すでに会社はないし。泣き寝入りするしかなかった

 

年金保険料の納付に対して、いまよりも緩かった時代。また自身の老後に対しての興味も薄く、将来の年金に対して無関心という人も珍しくなかった時代です。もし将来の年金に対して関心が高ければ、年金保険料を払っていないことに気が付いたかもしれない……そんな後悔をしたところで、年金が増えるわけではありません。

 

――今の若者たちにいえることは、年金に関心をもちなさい、ということですね

 

80歳を前にして、働く選択肢が狭くなっていることを感じるという西村さん。

 

――警備員のバイト、来年は更新しないといわれているから、職を探さないといけないんだけど、「次、80歳」というとダメだね。「年齢不問」と書いてあっても年齢を理由に断られてしまう

 

失業まであと3ヵ月。年金は減額となり、「働かなくても大丈夫」といえる状況ではない。焦り、憤り、怒り……いろいろな感情が押し寄せてきます。

 

――この国は終わっているよ。真面目に働いてきたとしても年金で生きていけないんだもん

 

年齢的にもいつまで働けるかわかりません。ただ生きていくために、次の仕事を必死に探しているといいます。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和7年度の年金額改定についてお知らせします』