「自分らしい住まい」とは? 英国人は、家を単なる寝る場所ではなく、心身ともにリラックスできる空間として捉えます。DIYやインテリアを通して、自分らしい空間を作り上げる姿には、彼らの豊かな感性が表れているのです。本記事では、イメージコンサルタント・テート小畠利子氏の著書『英国流 「自分に似合う」住まいの作り方:1人の時間も、みんなとの時間も、豊かで楽しい』(大和出版)より一部を抜粋・再編集し、著者自身の体験を通した英国の住まいと暮らしの魅力を伝えます。

(※写真はイメージです/PIXTA)
あー、うちで過ごすほど心から居心地のいいことはない…イギリス人が教える「最も自分に合った住まい」とは?
今でも残るジェイン・オースティンが執筆した机
「あー、うちで過ごすほど心から居心地のいいことはない」
ジェイン・オースティン
“Ah! There is nothing like staying at home for real comfort”
Jane Austen
冒頭の言葉は、18~19世紀前半に活躍した、小説『分別と多感』や『高慢と偏見』の作者で知られるイギリスの小説家、ジェイン・オースティンの名言です。
1805年、彼女は父親を亡くし、1809年、母と姉と友人・マーサとで、チョートンというかわいらしい村に引っ越します。今から約500年前に建てられた家には、ハーブやお花が咲く庭があり、洗濯物を干したであろう中庭もありました。ジェインが執筆に集中できるよう、姉と母親たちが家事を担当。手芸や洋裁が好きで、みんなでパッチワークをして楽しい時間を過ごしたとも言い伝えられています。

[図表1]
出所:テート小畠利子著『英国流 「自分に似合う」住まいの作り方:1人の時間も、みんなとの時間も、豊かで楽しい』(大和出版)
感動するのは、すべての本を執筆した机が今も存在すること。それも驚くほど小さく、胡桃(くるみ)の木でできたかわいらしく華奢な円卓で、直径たったの47センチ。ベース(足)に関しては定かではありませんが、18世紀初期に作られたテーブルトップは彼女が使ったオリジナルのものとされています。落ち着いた壁紙に包まれた彼女のコテージは、あたたかみがあります。
41年間の短い生涯を終えるまでの8年間を過ごした彼女の家は、今は博物館になっています。ジェイン・オースティンは引っ越しを重ねましたが、最終的には心の通じ合う人と暮らし、自分に似合った家に住むことができたのですね。