「絵本のような風景」と形容されるイギリスの街並み。古い建物を大切に受け継ぎ、自分好みの空間を作り上げる彼らの暮らしは、イギリス人の文化の表れです。本連載では、イメージコンサルタント・テート小畠利子氏の著書『英国流 「自分に似合う」住まいの作り方:1人の時間も、みんなとの時間も、豊かで楽しい』(大和出版)より一部を抜粋・再編集し、英国流の素敵な住まいについて解説します。
伝統や芸術、自然や動物を大事にする英国の暮らし
私が英国の街並みやインテリアと出会ったのは、大学時代の卒業旅行のときです。歴史誇る重厚感ある建物や、絵本のような風景にときめきを感じて、英国の住まいに関心を持ち始めました。その後、ロンドン駐在中の兄夫婦に会いに再び英国へ。今回は兄たちのフラット(マンション)で過ごし、英国での日常生活に触れて、アンティーク家具が彩る美しいインテリアに心躍らせました。スーパーで買ったティーバッグなのに、かわいいカップに入れてもらったお紅茶のおいしかったこと!
東京ではじめて一人暮らしをした部屋は、狭いながらも、自分好みのインテリアでまとめました。場所を取らない英国の飾り棚を渋谷の百貨店で見つけ、本棚も英国アンティーク店で購入。嬉しくてワクワクしたことを思い出します。こんな私ですが、子供の頃からインテリアに詳しかったわけではありません。
13歳のときに父の駐在先の米国ロサンゼルスから帰国して、両親は横浜に家を構えました。建売4LDKの庭付きの一軒家で私の寝室は6畳間の和室。勉強道具やぬいぐるみ、楽譜に埋もれた統一感のない部屋です。日常生活に問題はありませんでしたが、何か違うと感じていました。
今、私はイメージコンサルタントとして起業していますが、以前はスイス系銀行の外為カスタマーディーラーとして、ロンドンで勤務していました。ロンドン赴任なんて夢にも思っていなかった1996年、成田空港から渡英。次第に仕事や生活に慣れ、友達もできると、伝統や芸術、自然や動物を大事にする英国の暮らしに心惹かれていきました。13歳まで10年間暮らしたロサンゼルスの広々した土地やモダンな家も素敵でしたが、何百年前から健在する美しい英国の街並みに魅了されたのです。