「自分らしい住まい」とは? 英国人は、家を単なる寝る場所ではなく、心身ともにリラックスできる空間として捉えます。DIYやインテリアを通して、自分らしい空間を作り上げる姿には、彼らの豊かな感性が表れているのです。本記事では、イメージコンサルタント・テート小畠利子氏の著書『英国流 「自分に似合う」住まいの作り方:1人の時間も、みんなとの時間も、豊かで楽しい』(大和出版)より一部を抜粋・再編集し、著者自身の体験を通した英国の住まいと暮らしの魅力を伝えます。
(※写真はイメージです/PIXTA)
あー、うちで過ごすほど心から居心地のいいことはない…イギリス人が教える「最も自分に合った住まい」とは?
冬に溜まった暖炉の煤を払うため…大掃除は春に行う
「春の大掃除」英国人の暮らしの習慣
Spring cleaning
日本では年末に大掃除をしますよね。一方、英国では年末ではなく、「スプリング・クリーニング」といって、春に大掃除をおこないます。
英国ではさまざまな宗教が存在しますが、主要の宗教はキリスト教。したがってクリスマスは年中行事の中でも一大イベントです。年末はクリスマスまでのクライマックスでクタクタになっている人も少なくありません。
[図表2]
出所:テート小畠利子著『英国流 「自分に似合う」住まいの作り方:1人の時間も、みんなとの時間も、豊かで楽しい』(大和出版)
英国では昔、冬の間は暖炉に石炭を使用して家をあたためました。春になれば暖房は必要なくなるので、それまで溜まった煤(すす)を掃除するために、大掃除を春におこなったといわれています。
以前は「霧のロンドン」という表現をよく耳にしましたが、産業革命後、石炭燃料の使用が原因で霧というか、スモッグを引き起こし、健康に害を及ぼしました。現在も暖炉のある家はありますが、イングランドでは、煙を発する伝統的な自宅用石炭を使用することは禁止され、電気やガスに取って代わり、飾りとして残していることも多いです。
英国の春はとても待ち遠しいもの。日本と違って、英国の冬は日中も暗いせいか、特に長く感じられます。クロッカスが咲く頃になると、長く暗い冬の終わりを告げます。日は次第に長くなり、若葉や鮮やかな色の花が次々と顔を出して、春の訪れにホッとして解放感に包まれます。