空港ラウンジ、レストランの優待、旅行のアップグレード……高額年会費のクレジットカードは、魅力的な特典で溢れています。これらの特典を目当てに、ポイント還元率重視のカードからハイステータスなカードにシフトする若者がいるようです。本記事ではAさんの事例とともに、クレジットカード選びの際の注意点を社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
ポイ活に疲弊、年会費数万円「ハイステータスクレカ」を選ぶ若者の実態…月収35万円「体験価値」を求めた20代サラリーマンの末路【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

カードの特典は会費以上?

ラグジュアリーカードは今までにない最高級の体験を提供してくれます。また、困ったときには24時間365日対応のコンシェルジュサービスがあり、すぐに対応してくれるため、ストレスもありません。Aさんにとってそれらの豪華な特典はとても魅力的で、次はなにを使おうかという楽しみが日常を彩ってくれました。

 

たとえば、出張の際に空港ラウンジを使う楽しみができ、早めに行ってゆっくりしようと時間に余裕をもって行動するようになりました。休日は彼女とのデートがグレードアップし、旅行に行く回数が増えました。食事は指定レストランでのコース料理のアップグレードサービスや1名無料サービスがあるところを選ぶと失敗がなく安心です。なにより彼女も大喜びです。

 

会費は高いと感じましたが、それ以上に価値のある特典が打ち消してくれました。

こんなはずじゃなかったのに…

たしかに豪華な特典は魅力的です。日常生活で使える特典もあります。しかし、特典を使うために旅行や外出する回数が増え、消費支出が増えて貯蓄ができなくなってしまいます。

 

以前のAさんは、どちらかというと質素倹約でしたが、生活水準が変化したようです。Aさんにとってご褒美のような特典が毎週のように続いたら、ご褒美が当たり前のように感じてしまうのではないでしょうか。

 

特典を使おうとするあまり、貯蓄ができなくなるどころか、どんどん減っていってしまいます。

 

環境の変化が悲劇に……

年会費は高くてもそれ以上の特典があるはずでは? しかし、その特典をずっと受けられるとは限りません。受けられなければ当然、損をする結果に繋がります。Aさんも特典を受けることができなくなってしまいました。

 

実はAさん、仕事では営業から内勤に異動し、出張がなくなってしまいます。楽しみだった空港ラウンジの特典を使うことがなくなりました。

 

さらにプライベートでも、付き合っていた彼女と、些細なことで喧嘩別れしてしまいました。現在、彼女がいないAさんは、「1人で豪華なレストランや旅行に行っても……」と、特典を使うこともなくなっています。