子どものときから成績がよく、都内の上位私大に難なく合格した野坂さん(仮名)。しかし、現在の月収は約24万円(手取り20万円)、想定年収は300万円に届くかどうかというところ……そんな野坂さんは、自らの選択を「深く後悔している」といいます。いったいなにがあったのか、ルポライターである増田明利氏の著書『今日、借金を背負った 借金で人生が狂った11人の物語』(彩図社)から紹介します。

後悔しています…都内上位私大卒も「手取り月収20万円」新潟出身・板橋在住29歳サラリーマンの“悲痛な嘆き”【ルポ】
次の職探しを始めた矢先…野坂さんを襲った「さらなる不運」
何社かは面接したが半年以上のブランクを問題視されて不採用。ハローワークの指導員からは営業職や販売職も勧められたが接客業は嫌だったし、自分には向いているとも思わなかった。
「どうしようかなあと迷っているところで、間の悪いことに今度は足の骨にヒビを入れる怪我をしてしまいまして」
雨の日にアパートの階段を小走りに上がろうとしたときに雨水で滑って転倒。左足のくるぶしにヒビが入る怪我を負ってしまった。
「ギプスで固められて松葉杖です。全治4~6週間という診断ではハローワークに通うのも就職情報会社が主催する企業説明会や合同面接会などに参加するのも無理。完治するまでアパートの自室で養生するしかありませんでした」
治療費は郵便局の簡易保険に入っていたので補償されたが失業手当は90日で終了。クリーニング屋さんのアルバイトも辞めざるを得なかったので収入が完全に途絶えた。
生活費のため…やむなく「銀行カードローン」を利用
このピンチをしのぐために手を出したのが銀行カードローンだった。
「前の会社の給料を振り込んでいたのがY銀行でして。本当に少ないのですが20万円の定期預金もあった。だから貸してくれたんでしょうね」
限度額50万円で金利は14%。「早い話、20万円の定期預金が担保ということだと思います」
消費者金融にはフリーターやパートの方も歓迎とか、初めての方は30日間利息ゼロというところもあったが、商店街の一角や駅ビルにある無人契約機の前に座るのは抵抗があった。
「消費者金融と格好つけてもサラ金でしょ。やっぱり危ない、怖いというイメージもあるし。サラ金より銀行の方が安心という思いもありましたね。所詮は同じ金貸しなんだけど」
借りたのは15万円を2回で合計30万円。生活費のためだ。
「とうとう食い扶持まで借金かと落ち込みましたよ。何か堕ちるところまで堕ちたというか、惨めなものですよ」