日本信用情報機構(JICC)によると、2024年3月時点で消費者金融を利用している人の数は1,030万人でした。消費者金融の利用にいたる原因のひとつとして、ルポライターの増田明利氏は「広告などによる“借りやすいイメージ戦略”」を挙げます。同氏の著書『今日、借金を背負った 借金で人生が狂った11人の物語』(彩図社)より、その実態をみていきましょう。
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(※写真はイメージです/PIXTA)
日本の大学生の2人に1人は「平均343万円」の借金を背負って社会に出ていく…それでも「奨学金」の利用者が増え続けるワケ
自販機、バス、電車…街のあちこちに見える「お金貸します」の看板
先日、外出したときにまず目に入ったのは、歩道に設置されている自動販売機に貼り付けられた「カードでお金貸します」というステッカー。バス乗り場に置いてあるベンチの後部に「車でお金貸します」という看板。
駅ビルに入ったら、メインストリートの一角に消費者金融のATMコーナー。電車内にも事業者向けノンバンクの広告。駅舎から出ると駅前に建つ雑居ビルの2階から5階までにはすべて消費者金融の無人店舗が入っていた。
用件が済み、帰宅して一服したあと払い込みのため銀行に行ったら、ATMコーナーの端っこの間仕切りされたところにカードローンの自動契約機兼専用ATMがあった。図書館に寄ってから帰宅すると郵便ポストに自動車販売会社のオートローンのチラシが入っていた。
「便利」「親しみやすい」イメージを強調する消費者金融
今の世の中、本当に簡単にお金を貸してくれる、借りられるようになっているんだなと思う。昔はお金を借りる、借金するというのは後ろめたい気持ちになったものだし、金貸しの方も日陰の商売ということで目立たないように商売をしていたものだ。
ところが今はどうだろう。過剰融資、高金利、厳しい取り立てなどが問題になり、恐いイメージがあったサラ金は消費者金融とマイルドな呼称になり、チワワがつぶらな瞳で見つめてくるCMでソフト路線を演出するようになった。
現在は若手俳優やアイドルをCMキャラクターに起用し、消費者金融は親しみやすく便利なものであるという印象を与える戦略で顧客数を伸ばしている。
その消費者金融を「雑金」と下に見ていた銀行は、これは儲かるとなったらグループに引き入れたし、消費者金融が持っているノウハウを使ってカードローンを始めて利益を上げるようになった。