夫の急逝により、2人の子どもと3人での生活を余儀なくされた専業主婦のAさん。その後、親戚から「遺族年金」の話を聞いたAさんは、年金事務所へ相談へ行くことに。すると、職員から「予想外の回答」が……。いったいなにがあったのか、事例をもとに“遺族年金の落とし穴”をみていきましょう。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役の五十嵐義典CFPが解説します。

なにかの間違いでは…年金月17万円のはずが、2歳年下の夫を亡くした48歳専業主婦、まさかの〈遺族年金額〉に悲鳴「聞いていた話と違う!」【CFPの助言】
元気な夫が「心筋梗塞」で突然他界…悲しみに暮れるAさん
専業主婦のAさん(48歳)は2歳年下の夫Bさん(46歳)と長男のCさん(16歳)、長女のDさん(14歳)と4人で暮らしていました。
Bさんは、取引先で出会ったAさんと懇意になり、やがて結婚。結婚を機にAさんは仕事を辞め、専業主婦になりました。
しかし、43歳になったBさんは、「実は前から独立を考えていたんだ。俺、脱サラするから」といって約20年間働いていた会社を突然退職してしまったのです。
独立当初はとにかくがむしゃらに、寝る間も惜しんで仕事に没頭していたBさん。Aさんは、Bさんが会社を辞めた当初、実のところ「会社で上手くいっておらず思いつきで辞めたのでは」と心配していましたが、Bさんの一生懸命な姿をみて、次第に信じるようになっていったといいます。
AさんはBさんが独立して以降、国民年金保険料をはじめとした各種支払いのほか、家事に子育てなど、家のなかから家族を支えていました。
すると独立して3年が経つころには、Bさんの事業は順調に軌道に乗り始めました。金銭的にも、一家4人で不自由なく暮らすことができています。
信じて付いてきてよかった……。
AさんはBさんと充実した日々を過ごしながら、しみじみ実感したといいます。
しかしそんな矢先、警察からAさんに連絡がありました。
「旦那さまが道端で倒れて救急搬送され、E病院にいます。いますぐ病院に来ていただけますか?」
持病もなく、これまで大きな病気にかかったこともないBがなんで!? Aさんは混乱しながら急いで病院に向かいましたが、Bさんは心筋梗塞のため46歳にしてその生涯を閉じたのでした。
あまりに突然のできごとに、呆然とするAさん。どこか現実味を感じられないまま、お通夜に葬儀、夫の仕事関係者への連絡等と、慌ただしい日々を送りました。
そして、諸々の手続きがひと段落したとき、Aさんは「大きな喪失感」と「将来の生活に対する強烈な不安」に襲われました。
「これから3人でどうやって生活していけばいいんだろう……」
子どもたちの未来を守るためにも、自分が壊れるわけにはいきません。とはいえ、ひとりでは解決できそうにないと感じたAさんは、まず両親に相談。すると、両親からとある親戚を紹介されたのでした。