「質素で堅実」だったが…初めて借金した際の“意外な感想”

無駄遣いとは無縁だった人が消費者金融通い。さぞかし恥ずかしかっただろうと思うが本人は何も感じなくなっていた。

「生活費の補填のため、競馬の軍資金のため、前に借りた消費者金融へ返済するため。雪だるま式に増えてしまいました」

利息分だけ払っていたところもあったが、それもできなくなる。

「入金が1日遅れただけで会社に督促の電話をしてくる金融屋もあった」

こういう場合は架空の会社名を名乗り、高野さんが電話口に出ると「早く入金しろ」と迫ってくる。友だちと名乗って電話してくる業者もいた。

「アパートの方にも郵便で督促状が送られてきました。延滞利息が付くぞ。遅延損害金を加算する。この日までに入金がない場合は給料の一部を差し押さえる。こういう感じでプレッシャーを掛けてくるんです」

早朝、深夜の取り立ては法律で禁止されているが、電報を送りつけてきたり、相談と称して電話してくる業者もあったそうだ。

「こうなるともう頭がおかしくなっちゃうんです。クレジットカードで新幹線の回数券を買い、それを金券屋に持ち込んで換金する。そのお金を持って馬券売り場へ行く。大穴を当てれば返せるなんて馬鹿げたことしか思い浮かばなくなって。それが3分ほどで紙屑になる。こんな状態だった」

結局、2年半ほどの期間に消費者金融4社、クレジット会社、デパート系のカード、銀行のカードローンなどから借入れた合計は約280万円。

「最後はアパートの家賃も引き落とせなくなって。管理会社から、どうなっているんだ! 何日後までに必ず入金しろと矢のような催促が来た」

家賃の滞納が2ヵ月分になったところで連帯保証人になっている父親のところへ督促が行き、借金まみれになっていることが知られてしまった。

「何をやっているんだ、馬鹿タレと怒られた。自分でも情けなくて涙が滲んできました」

競馬なんてどうでもいい、とにかく返済をしなければと我に返ったが、借金総額は、延滞利息などが加算されたものもあってほぼ300万円。目眩がしそうな金額だ。

「金利は平均すると15%ぐらいです。銀行の大口定期が米粒くらいの金利なんだからべら棒だと思う。だけどそれを承知で借りたのは自分なのだから仕方ない」