世帯年収は400万円以上減少も…重くのしかかる「教育費」

もともとは妻も契約社員として働き、世帯年収890万円だったが、妻が脊椎管狭窄症になり復職が叶わず、加えて金澤さん自身の勤務先で雇用環境改善が起こったことで、世帯年収は400万円以上大幅に減少してしまった。

会社自体は過去最高益を更新しているのだから、その一部を社員に還元してくれてもいいのにと思うが、高給を取っているのは幹部社員や役員だけ。釈然としない。

奥さんはまだリハビリ中で就労していない。金澤さんの収入だけで住宅ローンと維持費、生活費、子どもたちの教育費をすべて賄うのはかなりきつい。

「今の手取りは月32万円ぐらいですね。住まいに係わる経費が10万4000円、水道光熱費と固定電話代で2万3000円前後だから合計すると12万7000円。これだけ出ていくので純粋な生活費として使えるのは何とか20万円というレベルですね」

20万円で一家4人の食費、被服費、医療費、金澤さんの昼食代込みの小遣い、子ども2人の教育費、保険料などを賄うのは不可能。貯金を取り崩すようになっている。

「やっぱり教育費が大きいですね。長男が大学に進学したときに入学金や授業料で130万円出ていき、去年、今年も年度初めに年間の授業料80万円を支払った。娘は公立高校なので学費はかからないけど、クラブ活動(吹奏楽部)と塾代が馬鹿にならない金額なんです。夏休みに予備校の夏期講習に行きたいと相談されたのですが、テキスト代込みの受講料が5万円と言われて考えてしまいました」

今の時代、学校の勉強をしっかりやらなければ上位大学に受かることは厳しい。教育費は聖域だと思っているので「しっかりやれよ」と了承したが、費用の5万円は貯金から引き出したもの。

奥さんに内緒で「キャッシング」に手を出してしまう

住宅ローンや教育費で青息吐息なのに金澤さんは奥さんに内緒の借金を作ってしまった。

「交際費といいますか、サラリーマンとしてお付き合いで欠かせないものがあるでしょ。わたしぐらいの年齢になると部下や後輩の結婚式に招かれることが多いんです。まさかご祝儀1万円というわけにはいかないでしょ。2万円は割り切れるから失礼になるので3万円は包まなくてはならない。一昨年は2回、去年は4回もお呼ばれしたからそれだけで18万円の出費だった」

それとは別に年に何度か葬儀がある。同期入社した友人のお父さんが亡くなった、郷里の従兄の連れ合いさんが亡くなったなどと聞くと香典や供花代が必要になる。

こういう臨時の出費のために、ついクレジットカードでキャッシングしてしまいまして。借りた金額は25万円なので利息が付いたら返せない額というわけではないけど、毎月の小遣いから数千円ずつしか返済できないので完済するには3年ぐらいかかってしまいます」