経済産業省が発表する「中小企業白書」によると、2022年時点での起業者数は約466万人となっています。起業の理由はさまざまですが、もともと会社員だった場合、独立後は「年金」に注意が必要であると、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPはいいます。Aさんの事例をもとに、年金未納を続けた場合の「末路」と納付できない場合の対策についてみていきましょう。
年金なんて払うだけムダ…〈年金制度崩壊〉を信じてやまない「年収800万円・貯金2,000万円」55歳個人事業主の末路【FPの助言】
「国民年金保険料」の納付は“国民の義務”
しかし、国民年金は、個人事業主や学生、専業主婦なども例外なく、20歳以上の国民すべてが加入しなければなりません。
年金保険料を支払うことは「国民の義務」です。どんな理由があろうとも、未納のまま放置してよいものではありません。
未納を続けていると、当然、国から年金保険料を支払うように電話や文書、そして自宅訪問などの方法で催促の連絡があります。これらの催促後も無視をしていると「特別催告状」が届きます。
「特別催告状」は、青→黄→赤の順で危険度が増す
「特別催告状」は、日本年金機構から送られてくる、年金保険料の支払いを催促する書面です。最初から赤色で届くわけではなく、最初は青、次は黄色、そして赤い封筒と、信号機の色のような順番で送られてきます。
青色の封筒には未納状況の説明が記載されていますが、赤色の封筒になると「財産を差し押さえることになる」という旨の記載がされています。
赤色の特別催告状が届いても手続きを行わなければ、「最終催告状」が届きます。令和5年度において、最終催告状は17万6,779件が作成されており、実際に財産の差し押さえにいたった件数は3万789件ありました。
このように、年金保険料は未納のままでいることはできません。納付しなければ、最終的には財産を差し押さえられてしまうのです。、ルールに従ってきちんと納付を行い、支払い催促があった場合には早めに対処しましょう。
また、財産を差し押さえられることのほかにも、年金保険料を納めないデメリットは、想像以上に多くあります。
1.将来の年金受給額が減る
老後に受け取れる老齢基礎年金は、保険料を支払った月数によって金額が変わります。つまり、未納の期間が長くなるほど将来に受け取れる年金額が減っていくのです。
2.障害年金や遺族年金を受け取れない
障害を負った場合に受け取れる「障害年金」や、年金受給となる対象者が亡くなった場合に遺族が受け取ることができる「遺族年金」も、保険料を納めていないと受け取れなくなることがあります。