さまざまな理由から便秘に悩む日本人は多い一方、「いつものことだから」と諦めている人も少なくありません。しかし、便秘は肌トラブルや痔といった身体症状だけでなく「心」にも悪影響を与えるため、放置はNGです。そこで、便秘に悩む人に食べてほしい“ある食べもの”を紹介します。松生クリニック院長の松生恒夫氏の著書『腸にいい習慣ベスト100』(総合法令出版)よりみていきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「便秘」と「うつ病」の意外な関係…腸も心も晴れやかにする“一度に二度おいしい”食べ物とは?【医師が解説】
肌トラブル、発熱、痔…「便秘」が身体にもたらすさまざまな悪影響
便秘の人は、にきびや吹き出物といった肌トラブルが多くなります。これは、便と一緒に排泄されるはずだった有害物質が長く体内に留まってしまうために起こります。また、便秘で腸内に生じた有害物質は免疫力を下げ、自律神経に影響します。
便秘が引き起こす大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)
大腸憩室とは、腸内にガスが多くなり、そのガスの圧力などで大腸の壁の一部にできた袋状のくぼみを指します。その多くは、便秘のために大腸の壁が厚くなり、大腸に圧力がかかるために外側に押し出されてできたものです。
このくぼみに便が入り、炎症を起こす病気が大腸憩室炎です。発熱や腰痛、稀に大出血を起こすことがあります。
便秘が痔を招く
便秘が続くと、排便のときに強くいきむために、痔になりやすくなります。痔は排便を苦痛にします。痛みから逃れるために排便を我慢してしまい、我慢すると便がさらに頑固になるという悪循環が起こります。
また、痔は排便時以外にも出血があるため、下着が不潔になりがちです。すると、外出や運動を控えて運動不足になってしまうなど、ライフスタイルにも影響が出ます。痔は軽いうちに治すことが大切です。
便秘が原因で「心を病んでしまう」ことも
うつ病の患者さんの中には、消化器系の不調、特に便秘を訴える患者さんが多くいます。また、抗うつ剤を服用すると、副作用として便秘やその傾向が現れやすくなります。
こうしたことは脳と腸が密接に結びついていることを示しており、〝脳腸相関〟を示す一例としてよく取り上げられます。
便秘は、精神的悪循環と身体的悪循環の2つが重なり、交互に悪影響を及ぼしていることも指摘されています。脳から腸、腸から脳へと負の連鎖が便秘を悪化させていくのです。