腸疾患治療の第一人者である松生クリニック院長の松生恒夫氏によると「健康な腸」であれば、自然と「太りにくい体」をつくってくれているといいます。松生氏の著書『腸にいい習慣ベスト100』(総合法令出版)より、腸に備わる「驚きの機能」についてみていきましょう。
残留農薬や添加物も「デトックス」…腸が担う重要な役割
腸を健康に保つためには、腸自体をよく知る必要があります。腸は小腸と大腸で構成され、小腸と大腸には異なる役割があります。[図表]のように、長さ1.5〜2mの大腸が、長さ5〜7mの小腸を取り囲むように配置されています。
小腸は十二指腸・空腸・回腸に分かれ、大腸は結腸・直腸に分かれています。さらに結腸は盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸の5つに分かれます。
腸の主な役割は4つあります。①消化、②吸収、③排泄、④免疫、です。胃液で消化されてかゆ状になった食べ物は、小腸で胆汁や膵液などの消化液によってさらに消化、分解され、吸収されます。そうして食物残渣[ざんさ]の水分の約90%も小腸で吸収されます。
小腸から大腸に運ばれた残りカス(食物残渣)は、水分を多少含んでいます。上行結腸・横行結腸・下行結腸へと進む間で水分は体内に吸収され、固形の便になり、排便を待ちます。
また、小腸には全身の約60%のリンパ球が存在し、体の免疫機能の中心となっています。
腸は最大の「毒素排出」器官
腸は、人体のデトックス(解毒・浄化)機能の大部分を担っています。野菜などに付いているといわれる残留農薬や汚染物質、また食品添加物など体外から侵入してくる毒素の75%は、便として排出されるのだそうです。
ちなみに残りの毒素は、20%が尿、3%が汗から排出されるといわれています。さらに残りの2%が毛髪や爪に出るといわれています。腸がきちんと機能していない場合(例えば便秘など)、体内に毒素を溜めてしまうことになります。
また、排出されるべき老廃物が腸内に増えるため、毒素も増えてしまいます。腸の排泄機能はそのような毒素(老廃物)を体外に出し、さまざまな全身の不調を防ぐ大切な機能です。