老後の生活のベースとなる公的年金。受給に関してはルールがあり、さらに細かな例外も。対象となり驚愕するシーンも珍しくないようです。
年金月12万円だったが…「年金の繰下げで受取額約2倍」を目指していた月収15万円・72歳の清掃業の男性。年金事務所で知る衝撃の真実に「何かの間違いでは?」 写真はイメージです/PIXTA

同僚「これ以上、年金を繰り下げても意味ないから」の真意

65歳から年金を受け取れば、月12万円。そこから保険料などが引かれ、月10万円強に。家賃4.5万円のアパート暮らし……ちょっと年金だけでは暮らしていけそうもありません。かといって、十分な貯蓄があるわけでもない。そんなときに聞いた同僚のアドバイス。「待っているだけで年金が増える……」。何ともいい響きでしょう。健康には自信のあった加藤さんは、もちろん年金の繰下げ受給を選んだのです。

 

しかし、アドバイスをくれた同僚(すでに仕事を辞めているので元同僚)から、「まだ年金もらっていないのか。早く受け取りにいけよ、意味がないから」といわれてしまったといいます。

 

――年金の受け取りを遅らせるほど増えるといっていたのに

 

少々納得がいきませんでしたが、素直な加藤さん。年金事務所にいったところ、衝撃的な事実を知ります。

 

――えっ、70歳までしか繰下げできないんですか?

 

年金の繰下げはもともと70歳まででした。しかし2022年4月に75歳まで延長となりました。ただ75歳となったのは昭和27年4月1日以降生まれの場合で、それより前の生まれであれば上限は70歳のままだったのです。加藤さんは昭和27年2月生まれ。繰下げ受給の上限、70歳の対象です。

 

加藤さん、最近になって「年金の繰下げは75歳まで」とだけ、どこかで聞いていたのでしょう。「ただし……」の部分を知ることなく「年金がほぼ2倍になる」と夢見て、ここまで来てしまったわけです。

 

結局、あと3年で12万円の1.84倍である22万円ほどになると思っていましたが、月17万円と目論見よりも5万円ほど少ない受給額に、思わず「何かの間違いでは……」とボヤいてしまう加藤さん。それでも、「月12万円と比べたらましか」と、今では満足しているといいます。

 

年金に関しては、細かな例外があります。自身がこの例外の対象となり、思ったよりも年金が少ない……という事態に直面することも。定期的に受取額(予定額)を点検することで、このギャップは解消できるでしょう。

 

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[参考資料]

総務省『労働力調査』

日本年金機構『年金の繰下げ』